小4~中3まで毎日6時間授業、過大な頁数の教科書。今、多くの子どもがカリキュラム・オーバーロードに直面して苦しんでいます。
中央教育審議会が次の教育課程基準のあり方を定めつつありますが、2つの問題があります。1つ、現行の教育課程基準は、カリキュラム・オーバーロードを招いているが、それらを改める手立てを組んでいません。2つ、それにも関わらず、「柔軟な教育課程編成の促進」を強調することで、現行の教育課程基準の問題点を改められるかのような「理解」を促しています。
どうしたらいいのか。そこで大切になってくるのが、学校時数ガイドラインです。この言葉の初出は、2024年の公教育計画学会誌です。「国の教育課程基準の変遷の検証を土台にして、国の教育課程基準の不合理を是正するために学校時数のガイドラインを示すもの」と説明しており、その目的は3つになります(大森「2つのカリキュラム・オーバーロード諭」『公教育計画研究』(15)2024:27)。
1つ、「国の教育課程基準の中にある不合理を明らかにして学校が対応する時の参考」とする。
2つ、「国の教育課程基準の改正に影響を及ぼす」こと。
3つ、「現場からのナショナルなガイドラインの策定と議論を重ねることで、国の教育課程基準がなくても学校を運営できるようにする」ことです。
学校時数ガイドラインについては、総則的な提案が、民間の側から2024~25年に5件行われています。小学校に絞って、ここに改めて3つの提案をしたいと思います。
「小学校時数ガイドライン 2026版」の提案
1)授業時数は1日5時間までに
小学6年の平日1日時数の変遷をふまえての提案です。1968標準時数は5.8で「肥大なカリキュラム」でしたが、1977と1989標準時数は5で子どもの生活と学習に合っていました。2008標準時数は5.8で「肥大なカリキュラム」の再来となり、2017標準時数はさらに増加して6になっています(年実質1050時間)。5までが妥当です。
標準時数は1年680(4時間が5日)、2年735(5時間が1日)、3年805(5時間が3日)、4年840(5時間が4日)、5・6年875(5時間が毎日)とするべきです。5・6年の2017標準時数は1015時間なので、そこから140時間削減する提案になります。
2)特別活動の標準時数は週2時間に
4〜6年の特別活動(学級・児童会・クラブ・行事の「4本の柱」)の標準時数の変遷をふまえます。1977と1989の標準時数は70時間で、「4本の柱」に必要な時数との齟齬が少なかったことに着目したいと思います。1998と2008と2017の標準時数は35です。
特別活動の標準時数は1〜3年は35のままで良いが、4〜6年は70とするべきです。減らす提案だけではありません。部分的には増やす提案もしています。
3)教科の標準時数は35の倍数に
図表1を見てください。小学校の1968と1977と1989の標準時数は全教科が35の倍数でした。35は標準時数を週時数に換算する重要な係数です。この時期まで、音楽・図工・家庭の標準時数は70だったので、それを35で割ると、週2時間になりました。
ところが、1998標準時数は3〜6年の全8教科を35の倍数外にしました。2008と2017の標準時数は3教科(国語・算数・理科)を35の倍数に戻しましたが、5教科(社会・音楽・図工・家庭・体育)はまだ35の倍数外になっています。音楽・図工・家庭が50時間だと、ある週は2時間あるけれど、ある週は1時間です。多くの子どもが楽しみにしているこれらの時間は、しっかりと確保するべきです。
全教科の標準時数を35の倍数に戻すべきです。音楽・図工・家庭は元の70に戻すことが妥当です。
このような提言をすると、必ず次のような質問を頂戴します。「時数削減や特別活動や35の倍数の必要はわかった」「でも、それらに応じた国語・算数ほかの内容削減は出来るのか」。この点については、教科書の内容の変遷の分析から、現行の過多となった内容を減らすことは、学習を子どもに合ったものにするために、むしろ求められていることです。そのためには、民間の側から、「学習ガイドライン」を提案することが有効で、そうした試みが始まっていることをここに記しておきます。