Vol.177放課後の歴史・現在・未来②
放課後の現在

 日本における子どもの放課後の現代的特徴は、「管理化」「市場化」「教育化」「バーチャル化」といったキーワードで表すことができます。
 例えば、千葉県警(2012)によると、子どもが巻き込まれる事件の7割近くは放課後(14時台~17時台)に起きているとされています。
 ご近所づきあいが少なくなった現代においては、地域共同体の自治は消滅します。夫婦共働き世帯も増え、「地域の子ども達は地域で守る」ことがしづらくなっている状況の中で、特に保護者からは、安全管理体制の行き届いた場所を要望する声が大きくなっています。

 図1は、厚生労働省が行なった「21世紀出生児縦断調査(第7回)」の中で、子どもが放課後に過ごす場所について得られた回答(複数回答可)をまとめたものです。
「21世紀出生児縦断調査」とは、その名の通り21世紀に出生した子どもの実態及び経年変化の状況を継続的に把握することを目的として行われているもので、全国の平成13年出生児と、平成22年出生児を対象に、おおよそ1年ごとに実施しているものです。「第7回」は、子どもたちが小学1年生の時点で実施された調査となりますので、図1は、平成20年の小学1年生(平成13年出生児)と、平成29年の小学1年生(平成22年出生児)の放課後過ごす場所の比較を示す図となります。

図1 放課後に過ごす場所の世代間比較
注:1)第7回調査の回答を得た者
(平成13年出生児童数 36,785、平成22年出生児童数25,397)を集計。
2)「放課後」とは、ふだんの下校から午後6時頃までの間をいう。

 これを見ると、子どもたちの過ごす場所として「自宅」「友達の家」「戸外(公園等)」といった場所が減少していることがわかります。

 一方、「学童保育」は増加傾向にあります。
「学童保育」は、もともと保護者となる親の就労支援の文脈で広がりをみせてきたものであり、夫婦共働き家庭の増加に伴い、低学年の子どもが安全に過ごせる場所としてニーズが高まってきているといえます。このようなデータからも、放課後子どもがその時々によって自由に過ごすということが少なくなってきており、大人による安全管理がなされた場所で子どもたちが放課後を過ごすようになってきていることがわかります。
 また、学習塾や習い事等の教育サービス産業が増大し、多くの子どもたちが放課後に学習塾や習い事に行くようになったことで、子どもの放課後が「市場化」「教育化」していることも指摘できます。
 先の「21世紀出生児縦断調査(第7回)」を見ると、一時期よりは習い事やスポーツクラブ、学習塾等の利用率は減少傾向にありますが、それでも依然として多くの子どもたちがそれらの民間教育サービスを利用しています。

 「バーチャル化」については、今後ますます加速していくことが予想されます。
 SNS一つを取ってみても、子どもの利用率は増加傾向にあります。「放課後の過ごし方」として家でインターネットに接続して動画を視聴したり、スマートフォンを使用して好みのSNSに接続したりといった過ごし方は、これからますます増えていくでしょう。

東京学芸大学 パッケージ型支援プロジェクト
特命助教 田嶌 大樹
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