Vol.032子ども達が自分の疑問に向き合える①「けんQノート」①

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「冬にラーメンを食べると鼻水が出るのはなぜ?」
 クラス中が笑いにつつまれる。次の瞬間、元気のいい子たちが「あー!出たことある!」「オレもある!」と声をあげ、普段おとなしい女子も少し恥ずかしそうに頷く。ラーメン好きの私も含め、クラス全体がこの「あるあるネタ」のような疑問(Q)に共感しました。
 私が担任しているクラスでは、「けんQノート」の発表を毎朝行っています。「けんQノート」というのは、子どもたちひとりひとりが自分の生活の中に隠れている疑問を発見して、それについて調べる活動です。
 私がこの活動を始めるきっかけになったのは、2年生の生活科で「町たんけん」の授業を行っている時の子どもたちの反応でした。子どもたちは、学区域内の地名については少なくとも聞いたことがあるというのですが、学区からほんの一歩出た地名については数人の子が「行ったことあるかも」と言うくらいで、多くの子が聞いたこともないというのです。ところが、次の休み時間、サッカー好きな子たちが集まって話をしていました。「ねぇ、昨日のバルセロナの試合観た?」「観た観た!マンチェスターの試合もすごかったよね!」。おそらく、その子どもたちはバルセロナやマンチェスターについて多くは知らないでしょう。しかし、少なくとも彼らは自分の住んでいる近所の地名は知らないのに、自分の興味がある分野であれば遠く離れた世界の地名を知っているのです。

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「学習の系統性」と「興味」「関心」
 学校現場では「学習の系統性」という言葉をよく耳にします。この例でいえば、学校内探検に始まり学校の周辺、町、市区、都道府県、日本、そして世界へと子どもの居住地から同心円状にカリキュラムを展開していきます。ところが、先に挙げたような子どもの様子を見ていると、「系統性」とは、あくまでも「知識」や「理解」に焦点を当てたものであって、それは、子どもたちが自発的に抱く「興味」や「関心」とは無関係であることに気がつきました。必要な「知識」を積み上げていくことも大切ですが、学校は学びの場ですから、子どもたちが生活の中で見つけた「興味」「関心」をきっかけに、そこからスタートする学びの体験を支えてあげることも大切だと感じます。このような思いから「けんQノート」はスタートしました。
 先程紹介した冬のラーメンの疑問は、お父さんと一緒にインターネットを使って調べたようです。2年生ですので、難しい言葉が理解できなかったり、説明が足りなかったりすることはありますが、そういった躓きが「もっと調べてこよう」というモチベーションを生んだり、その発表を聞いた子の質問を生んだりしていきます。
 そして、続く発表は、「なんで“うそを言う”じゃなくて“うそをつく”っていうの?」です。まさに日常の中にあるのに気づかない、隠れたQですね。
 う〜ん、なるほど!面白い!!
 思わずおとなも唸る面白さです。
 次回は、「けんQノート」のフォーマットと大切にしたいポイントについて紹介したいと思います。
東京都世田谷区立東深沢小学校教諭
木村翔太
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