Vol.228通級による指導におけるアクティブ・ラーニング
自立活動とアクティブ・ラーニングの関連性

 通級による指導は、障害に応じた特別の指導を、通常の教育課程に加え、又はその一部に替えて行うものです。その指導の根拠となるのは、特別支援学校学習指導要領で示されている「自立活動」です。自立活動の目標は、「個々の児童又は生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う」ことであり、6つに区分された全27項目の中から、その子に必要な内容を組み合わせて指導を計画します。
 通級による指導において、アクティブ・ラーニングは必要不可欠です。
【主体的な学び】
 平成11年に「養護・訓練」から「自立活動」に改められた経緯も、養護や訓練という言葉が受け身的な意味合いで受け止められることがあり、「主体的な活動であり、自立を目指した活動であることを一層明確にするため」(学習指導要領解説・自立活動編より)でした。自立活動に主体的でない学びなどありえません。
【対話的な学び】
 通級による指導は、個別指導や小集団指導の形態で行われます。コミュニケーションの指導が多く行われるため、友達との話し合いも多くもたれます。それだけではなく、教師との一対一の対話、そして自己との対話を通して自己理解を深めていきます。
【深い学び】
 外の世界の知識を広げ、それらを繋げて理解や考え深めていくのが通常の学級における学習の中心であるとしたら、通級による指導は自身の内なる世界に目を向け、自己理解を深めるとともに社会との関わり方を考える学習であるといえると思います。

 Aさんは小学3年生。注意や集中を持続して学習することが難しく、ADHDの診断があります。また、これまでの度重なる注意で、授業への参加意欲が低くなっている状態でした。
 通級では、ただ授業規律を教えこんだり、ADHDの特性とその対処方法を教えたりするのではなく、刺激の少ない環境で、Aさんが夢中になってできる活動を通して、まずはできた経験に焦点を当てることから始めました。Aさんにとって「授業中に集中できていないこと」に目を向けることは辛くても、「こうすれば授業に集中できる」という視点で課題に向き合うことができるようになりました。すると、「僕は授業中、勉強と関係ないことがよく気になっちゃうんだ」と、Aさん自身の口から自身の課題が語られるようになりました。
 在籍学級ではどうしても刺激が多くなってしまいますが、Aさんの学級担任の先生と相談して、Aさんが集中しやすい座席配置や、注意ではなく今の状態をAさん自身に気付かせるような声掛けができるように工夫することで、Aさんが落ち着いて授業に取り組む時間が増えてきました。
 このように、通級による指導では自立活動を基にしたアクティブ・ラーニングを行っているといえると思います。

大田区立入新井第二小学校
八幡亮
pdfをダウンロードできます!