Vol.214進んで関わり合いながら運動に取り組む子の育成~大田区立新宿小学校の校内研究実践報告~
③研究の成果と課題

2021.3

 4年生のゲームの授業を形成的に評価した結果、単元前半に比べ、単元後半に協力、成果、学び方の評価が高くなりました。ゲームの結果を受けて作戦を話し合ったり練習したりするなど試行錯誤を続けていく中で、徐々にゲームに必要な技能や動きを身に付け、ゲームを楽しめるようになっていったことが原因だと考えられます。

 「友達と一緒に運動してよかったか」という質問では、単元前半と後半で有意な差は見られませんでした。しかし、「友達と一緒に運動してよかった理由」について児童が自由に記述したものを見ると、単元前半は「楽しいから」というものが多かったのに対し、後半は「楽しいから」よりも「教えてもらえる」「教えてもらってできる、勝てる」という言葉が多く出てきました。これらのことから、児童の友達と一緒に運動するよさについての観点が、単元を通して実感を伴って変わったと考えられます。

 この傾向は、全児童への意識調査でも見られました。「友達と一緒に運動することが好きか」という質問に肯定的に回答した児童の割合は、昨年度末、今年度で差が見られませんでしたが、その理由を見ると、全ての項目が昨年度末に比べて増加しました。特に、「楽しい」に比べその他の項目の増え方が大きく、楽しいだけではない、友達と関わることの多様なよさを実感することができたと考えられます。

 これらのことから、児童から引き出したい姿を明確にし、それを価値付けたり引き出したりする発問・言葉掛けを意図的に行うこと、児童同士が関わり合いながら学習に取り組めるような学習資料等を工夫することで、児童は学習を通して友達と一緒に運動することの多様なよさを実感することができたと考えられます。
 今後は、児童に友達と関わることのよさをさらに実感させていくこと、よさを実感したうえで児童が自分から進んで友達と関わり合って運動に取り組んでいくことをめざして実践を続けていきます。

大田区立新宿小学校
崎村和秀
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