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Vol.108鍵盤ハーモニカとあそぶ ― 新しい活動の提案

 鍵盤ハーモニカについて、みなさんはどのような思い出があるでしょうか。楽しく吹くことのできた思い出でしょうか、それとも、うまく指を動かすことができなかった思い出でしょうか。

 昭和42年、第4次学習指導要領に即して設定された小学校および中学校の教材基準に、鍵盤ハーモニカが挙げられたため現場で用いられる頻度が高まり、それと並行して、現場で使いやすいように改良されてきました。その一役を担ったのが、株式会社鈴木楽器製作所(以下、鈴木楽器製作所)です。

 今回、鈴木楽器製作所と共同するにあたって、次のような問いがありました。「こどもたちは鍵盤ハーモニカを用いた活動を本当に楽しんでくれているのだろうか?」。鍵盤ハーモニカは持ち運びの便が良く、また、鍵盤楽器と吹奏楽器の要素を併せ持つため、旋律を奏することや和音をおさえること、短い音や長い音など、音を自由に作っていくことのできる表現の幅が広い楽器だと感じています。ただしその一方で、これまでは「演奏」することを主な目的としてきたことから、例えば合奏で、音やリズムを間違えないようにとびくびくしながら吹いた思い出や、隣にはとても上手に吹ける子がいて自分にはできそうもない、と感じる機会が積み重なる子もいたかもしれません。そのような現状に対し、どのような子にも鍵盤ハーモニカを楽しんでもらえるような新しい活動開発を通して、鍵盤ハーモニカの楽しさをもっと感じてもらいたい、ということが、鈴木楽器製作所の願いであったと感じています。

 平成29年3月、3法令改訂(定)(『幼稚園教育要領』『保育所保育指針』『幼保連携型認定こども園教育・保育要領』)に伴い、幼児教育における「あそび」を柱とした活動の重要性が再確認されました。鍵盤ハーモニカは現状、小学校での使用の他、幼児教育での使用例も少なくないことと、今回の開発において「あそび」をキーワードにしたいと考えたため、都内の認証保育園に協力をいただき、幼児期(4、5歳)のこどもたちを対象に、「あそび」を軸にした活動開発を行うことにしました。

 活動開発を行うのは、東京学芸大学の森尻有貴先生(音楽)、正木賢一先生(美術)、東京学芸大こども未来研究所研究員の我妻(幼児)、小田(音楽)、高橋(社会)が担当しました。鍵盤ハーモニカを初めて手にするこどもたちは、どのような体験に胸を躍らせるのだろうか、どのような体験を通して鍵盤ハーモニカに愛着を持ち、主体的な音楽活動へと連続していけるのだろうか、そのようなことをテーマに会議を重ね、活動の考案・実践を行い、研究会で他の先生からもご意見をいただいてきました。

 今回の取り組みにおける成果は、2018年秋頃に向けて公開の準備を進めており、実際に保育園や幼稚園、こども園で使用する際の参考としていただけるよう、活動案集にすることを想定しています。情報公開の後には、ぜひ、多くの先生方にご一読いただき、ご意見を賜ることを通して、今回、鈴木楽器製作所との共同にあたって共有された問いについて、一緒に考えていくことができれば幸いです。

NPO法人 東京学芸大こども未来研究所研究員
小田直弥
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「鈴木楽器製作所×東京学芸大こども未来研究所」の記事

NPO法人 東京学芸大こども未来研究所研究員 小田直弥
【Vol.108】2018.04