Vol.130遊ぶようにワクワク学ぶ②
遊びと学びとを区別すること

2018.11

 「これから1時間目の授業を始めます」。

 日直の子どもに合わせて、クラスのみんなが「よろしくお願いします」と挨拶をする。これは、全国どこでもみられる光景です。この挨拶は一体何のために行われているのでしょう? おそらく、その答えとしてもっとも多く挙げられるのは、「切り替え」というキーワードではないでしょうか。当然、休み時間に外で思い切り遊んできたハイパーな気持ちのままでは、みんなで落ち着いて授業を受ける空気はつくれません。だからこそ、「これまでは楽しい遊びの時間だったけれど、ここから先は真面目な学びの時間だよ」と、心のモードを切り替えるための儀礼を行う必要があるのです。そのような「切り替え」の大切さは、日々教壇に立つ者として大いに共感するところです。

 ところが、そのように遊びと学びとを区別することが、もしかすると「勉強がつまらない」と思う子を増やしているのかもしれないと思ったりします。子どもは遊びが大好きです。一方で、勉強が好きだという子は少数派でしょう。もしも、両者をシームレスに繋いであげることができたなら、子どもたちの中に築かれた遊び(楽しい)と学び(つまんない)の垣根はなくなっていくのかもしれません。

 今回、ファンファンラーニング株式会社とミントフラッグ株式会社と共同研究し、ワクワクするコンテンツ、「マグナとふしぎの少女」を英語の授業に導入することにしました。子どもたちを惹きつける世界観とストーリー、魅力的なキャラクター。子どもたちはついつい遊び始める…すると、いつの間にか英語の学びがスタートしている。そんな学びの実現を目指します。

 日本にいながら英語を学ぶということは、大人にとっても容易ではありません。なぜなら、それを学ぶ必要感が得づらいからです。子どもにいたっては、それは尚更でしょう。”Let’s talk in English!”と言われたところで、目の前にいるのはさっきまで一緒にサッカーをしていたクラスメイト、先生だって普段は日本語で話しています。言ってしまえば日本での英語の学習場面はおおよそフィクションです。それは致し方ないこと。だったら! その道のプロがつくる圧倒的に楽しいフィクションの世界に子どもたちを浸らせてあげたい。

 次世代を担う子どもたちの教育は、社会全体で担うべき課題です。いつも我々教師が集まってあれこれ頭を悩ませるのではなく、社会と繋がっていくことでより良い学びの場をコーディネイトする。それがこれからの教師に求められる役割になっていくのかもしれません。

東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 木村翔太
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