Vol.121大学入試改革から子どもの学びを考える②
子どもの学びはどう変わるのか?

 2020年度の大学入試改革を待たずして、思考力や表現力、学びに向かう力を重視する教育は、既に多くの大学で始まっており、それに向けた小学校、中学校、高等学校の教育の在り方が、新学習指導要領改訂を基軸にスタートしています。

 ここで、子どもの学びはどうなるのか、という視点で考えてみたいと思います。戦後の復興から高度成長期までの「豊かな」社会の実現は、日本の高い教育力に起因していました。「読み、書き、そろばん」と言った基礎学力を全国民が有するものとなっているのは学校教育のおかげです。時代の発展に応じて教育内容が増やされ、経済発展を支える原動力となっていました。当時は、「知識の詰め込み」的教育が効果的であり、いかに多くのことを知っているのか、ということが求められ、入試においてはその量や正確さが試されました。より多く、より速く、より正確に「正解」を求めていく学びであったと言えます。

 経済成長を終え、今の日本社会の問題は、「豊かさ」の達成の後に目標を見失い、目指す社会像が見えないという指摘もあります。これから問われる能力とは、「次の目標を提示し、それを目指して先に進む力」だと言われます。世の中の構造が変わり、求められる能力も変容したのです。グローバル化、AI時代の到来、ダイバーシティ・マネジメントの必要性等、新しいキーワードが押し寄せる世の中です。「価値観」が恒常的なものではなくなったため対応力も必要になります。子どもたちが今後生きていく時代は、社会目標を創っていく力やそのための組織原理を考える力と言えます。自分の生き方を見つめ、人生を切り開いて行く力が必要になります。今回の学習指導要領の改訂は、まさにそのような力を身に付けていくことが求められ、いかにその力を身に付けさせるのか、どう学ばせるのかということが重視されました。

東京学芸大学准教授 鈴木聡
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