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Vol.004学校における外部連携の可能性①研究実践校レポート

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グローバル化や地域コミュニティなどの社会変化にあわせて、学校に対するニーズもこれまで以上に多種多様な形のものが求められるようになってきています。

そのような中で今回は、中央区教育委員会研究奨励校の常盤小学校で取り組んだ「外部連携」研究の事例をご紹介さていただき、「外部連携」の可能性について考えるきっかけになれば幸いです。

常盤小学校では、「子どもが生き生きと学ぶ指導の工夫〜外部(大学・企業・地域等)との連携を通して〜」という研究主題のもとで、2年間に渡り多様な研究実践への取り組みを実施しました。研究の特色としては、積極的に外部の人材を取り入れ、授業作りのスタートから、企業や大学、地域関係者からの専門的な内容の学びを取り入れつつ、導入・展開・まとめにおける指導のアイデアを教員と共有し、実際に外部人材の方々にそのプロの技を実践してもらう場面を設定しているところがあります。また、それと同時、この研究は国立教員養成系単科大学4大学の共同による「大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築−教員養成ルネッサンス・HATOプロジェクト−」との連携した研究としても実施されました。

今回このような研究主題を設定した理由としては、「〜教育の中で、これらの外部の力を取り入れて児童へ指導しようとする流れはこれまでもあり、出張授業やゲストティーチャーなどはその表れである。しかし、その時間だけ指導していただくことはイベント的要素が強くなり、学習の広がりや深まりという点では弱い。教師もその時間を外部講師に委ねるだけの関わり方になることが多く、授業に対する思い入れも弱い。〜」ということが上げられており、それに対し、教師が学習に広がりや深まりをもたせたい、より充実した楽しい授業にしたいという単元について、外部の人材や資源を積極的に取り入れ、授業案の作成時から『授業を共につくる』ということ中心課題に研究が進められました。

具体的な研究授業までの進め方としては、
  1. 各学年・専科教員が、年間指導計画に基づき、児童に学びの広がりや深まりをもたせたい単元、教師自身が「こんなことをやってみたい。」と心が躍るような単元を検討
  2. 授業者・分科会・外部連携コーディネーターを交えながら、外部連携先を選定し、交渉を実施
  3. 授業の単元指導計画を作成する段階から、外部教育支援人材を交えたワールドカフェを行い、授業づくりを検討
  4. 研究授業までに、数回、外部教育支援人材に来校いただき、児童と交流、タブレット端末を通しての連携を行いながら、授業づくりを実施

という行程で行われ、この過程を経て、外部連携の在り方が4つのパターンに分類出来ました。

  • 外部人事の交流と活用(実際に外部人材の方に来校いただき、直接授業に参加)<成果>子どもの好奇心が刺激され、教師自身へもプロの技や考えに発見があり、それを授業へ活かすことが出来た。
  • タブレット端末の活用(HATOプロジェクトと連携し、タブレット端末を活用しながら外部連携)<成果>児童にわかりやすく提示することができ、教員の外部連携かかる時間と距離を短縮することが出来た。
  • 活用したい材料や教材の提供依頼(児童に実物を提供をしていただく)<成果>実際に材料や教材を児童が見ることで、その後の授業への取組が積極的になった。
  • 複合型(上記Ⅰ〜Ⅲを複合的に組み合わせ)

<成果>様々な仕掛けを次から次へ展開できるので、より児童の気持ちに変化が行った。授業への積極的参加と、学習したことを他へ応用しようという試みが見られた。

一口に外部連携と言っても、様々な可能性があり、それぞれに場面や状況に応じた活用方法があること、また教員の意識や授業に対する考え方へも刺激が起こったということが、今回の研究事例から見ることが出来ると思います。これからも、外部との連携はますます盛んになっていくと思いますが、関わり方のプロセスによって多様な可能性があり、それによってえられる成果も様々ですので、例えば同じ連携先でも、アプローチを変えてみると、また異なった可能性に出会えるかもしれません。

次回は、今回の研究の中でもキーになっている手法「ワールドカフェ」に焦点を当てて、レポートを行います。

NPO法人東京学芸大こども未来研究所研究員
高橋真生
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