Vol.109カリキュラム・マネジメントとは③
カリキュラム・マネジメントの留意点

2018.04

 カリキュラム・マネジメントを実施する際には、以下のような手順で進めていってはどうでしょうか。

①学校教育目標から子どもの姿を明確にする
 学校教育目標から子どもの具体的な姿が見えるでしょうか。例えば、「自分でよく考える子」という学校教育目標は抽象的です。決して学校教育目標が悪いわけではありませんが、子どもの具体的な姿はイメージしにくく、教職員一人一人の捉え方も異なってしまう可能性があります。指導者の捉え方が違えば、学校として向かう方向がばらばらになってしまいます。そのため、「自分でよく考える子」とはどのような姿なのかを、子どもの行動レベルの姿で明確にし、教職員全員で共通理解する必要があります。

②年間指導計画を見直す
 子どもの学びは決して教科ごとに分かれているわけではなく、学びが相互に関連し合っています。つまり、子どもの学びはつながっているのです。そのような視点で全教科の年間指導計画を並べて見ていくと、「国語で学んだ発表の仕方は、総合的な学習の時間で使えるぞ」、「国語で学んだ文章の書き方は、他の教科で使えば、『自分でよく考える子』につながる」といった発想が出てきます。このような発想が出てきたら、それを実際に行うために教科の中で単元の入れ替えをしていくとよいでしょう。教科書の順で行うことにこだわらず、児童の実態や目指す子どもの姿を考慮して年間指導計画を見直してください。

③単元計画を考える
 教科のつながりが見えてきたら、まずは、教科ごとの単元計画を作成し、次に教科を超えた単元計画を作成していきます。教科を超えた単元計画を作成する際には、時間軸を意識するとよいと思います。例えば、「国語科→生活科」のような順序もありますし、国語科と生活科が同時進行で、最後に生活科というような単元計画もあるでしょう。時間軸を意識することで、子どもの思考の流れに沿った学びにすることができます。

 このように計画していきますが、PDCAサイクル(計画→実施→評価→改善)を考えることが大事です。子どもの興味・関心が計画通りいくとは限りません。実施したら振り返り、「子どもの学びをつなげるには・・・」と原点に立ちかえり考えていきましょう。また、地域人材などのリソースを、どこで活用すれば学びをさらに深くするために効果的かについて考えていくことも重要です。

 カリキュラム・マネジメントというと難しいことと捉えられがちですが、「子どもの学びをつなげる」と考えるとワクワクしてきませんか。「子どもの学びをつなげる」カリキュラム・マネジメントを考え、ぜひ素敵な子どもの姿を求めていきましょう。素敵な実践が各校で行われ、先生方と実践の交流ができることを楽しみにしています。

東京都調布市立第三小学校指導教諭
小島大樹
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