Vol.049心の健康と生徒指導③健康と心の成熟

2016.08
49_pic_01  疲労が溜まったり、ストレスが解消できないと、日頃の仕事もうまく進まず、学校で子どもと一緒にいても楽しめません。また、大事なことや微妙な人間関係に対してもうまく対応できなくなります。
 落ちこんだり、不安であったりするときは、まず少しでも休養をとることが良いとされています。ところが心身の調子が悪いときには、心の中に焦りやこだわりがあって休養ををうまくとれなくなってしまいます。夜眠ろうとしても、眠れず、人と親しく接したくても、人が怖くなります。こうしたときは、心の健康が良くない状態です。
 休養のとり方は人によって異なり、読書であったり、運動であったり、お風呂であったりします。周りの人と少し雑談することも、自分の気持ちの持ち方を変えることができます。
 もし長い間、強いストレスを感じていたら、休息しながら自分自身について少し観察してみるのが望ましいとされています。仕事が思ったように進まないのは、自分が考えていること以外に原因があるかもしれません。そんなときは、焦って仕事を早くこなそうとすると逆効果です。周囲の協力を得ながら、自分自身と向き合う時間が必要です。
 疲れ切った、ストレスだらけの古い自分から新しい自分が生まれるのをじっと待つようにしましょう。ゆっくりと待つ中で、私たちの心はより成熟したストレスにも耐えうるものに少しづつ変わっていくと言われています。
東京学芸大学教授
佐野秀樹
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