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Vol.041子どもの貧困と学校①子どもの貧困とは

41_pic_01  「家賃を支払う余裕がなく親と一緒に車で寝泊まりしているため、学校に行けない」「親がパチンコをするための金欲しさに、中学校を卒業して間もない子どもに就職を迫り、その収入をすべてパチンコに使ってしまう」「家計を支えていた父親が急に死亡し、専業主婦だった母親がなかなか職業を見つけられず、夜の仕事で仕方なく家を留守にせざるを得ない状況で小さい弟や妹の生活の面倒を小学生の長女がみる」—など、「子どもの貧困」という問題が、日本において大きな社会的課題となっています。現在、日本の子どもの貧困率は、16.3%(2012)です。つまり、日本の子どもの6人に1人は、貧困の状況にあるということになります。
 ここで、「貧困」という言葉の定義ですが、日本でいう「貧困」は、「相対的貧困」という概念を指し示す言葉として使用されています。「相対的貧困」とは、世帯の可処分所得(いわゆる「手取額」)が、日本国内の中央値(高い順に上から並べた時の真ん中の値)の半分以下であることを指します(子どもの場合は、多くは自分自身で収入を得ないため、保護者の世帯収入が判断基準になります)。
 言い換えると、日本の50%の人が得ている収入の半分以下の収入で生活している人が、6人に1人いて、日本における「貧困」の問題は、発展途上国等にみられる飢餓等の貧困(これを「絶対的貧困」といいます)とは違い、「経済的格差」が問題となるのです。
 この「経済的格差」の問題は、子どもたちが抱える他の様々な問題と結びついていることがこれまでの研究で明らかにされています。学校にかかわる私たちに身近なところで言えば、教育格差との結びつきです。
 ある調査研究では、親の経済的状況と、子どもの学力に高い相関関係があることが明らかにされました。お金がある家の子どもは、塾や家庭教師といった学校外の教育機会にも開かれており、そうした中で学力を高めていくことができるということです。また、経済的に困難な家庭状況に生まれた子どもの一定数は、どんなに頑張ってもその困難性を克服できないまま一生を終えるという衝撃的な事実も示されています(貧困の連鎖)。

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図 児童の正答率と家庭の世帯年収(文部科学省 2009『平成21年度 文部科学白書』)


 「お金がない」ということ、それ自体が不幸であるということには決してなりせん。しかし、「お金がない」と社会の様々な場面で「排除」される可能性が高まります。こうした「排除」を生まない社会=「包摂型社会」を生み出すために、今、学校がそのプラットフォームとして大きな役割を期待されています。次回以降は、学校や教員が果たしうる役割について、考えていきたいと思います。
(東京学芸大学パッケージ型支援プロジェクト http://ccss.tokyo/)
東京学芸大学特命助教 
田嶌大樹
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