今回は、第2回EDUAI(AI×教育プロジェクト)シンポジウムにおいて事例紹介されたEDUAI研究会から発生した3件の共同研究プロジェクトの研究成果について、その内容を紹介します。
まず、「教育現場での運動解析AIの可能性」について、株式会社エクサウィザーズ執行役員の遠藤太一郎氏と東京学芸大学の新海宏成准教授より報告がありました。この研究は、AIを用いたスポーツアシストツールの開発を目的としたもので、今回の発表では、垂直飛びについての紹介がありました。垂直飛びを行っているところを撮影した後、その動画をボーン化してAIで解析することで定量化でき、そのデータを用いて簡単に適切に改善点を指摘できるようにしたものでした。また、リモートコーチングのアプリケーションを用い、遠隔でも指導が行えるようになるという紹介もありました。
次に、「教員の働き方改革プロジェクト」について、リクルート次世代教育研究院院長の小宮山利恵子氏と東京学芸大学の松田恵示副学長、萬羽郁子講師より報告がありました。この研究は、多忙化する教員の実態を広く・深く調査し、これからの教員の職能感、働き方のモデルを検討、それらを実現するためのソリューションを開発することを目的に行われているもので、つくば市の協力の下、つくば市公立小学校全29校の全教員を対象に教員の業務実態に関する調査を行い、結果の定性分析から、働き方改革を阻害する要因を明らかにするとともに、職務の削減・整理を支援するための具体的なモデル化についての報告がありました。
最後に、「Fun LearningとAIによる英語学習環境アップデートにむけた取組」について、ファンファンラーニング株式会社代表取締役の山中裕人氏、ミントフラッグ株式会社代表取締役・ファンファンラーニング株式会社取締役の片山崇氏、東京学芸大学の木村守教授、東京学芸大学附属世田谷小学校の木村翔太教諭より報告がありました。この研究では、ミュージカルとゲームを融合させた新感覚のファンラーニング型・英語教育サービスの教育現場への導入のために、東京学芸大学附属世田谷小学校で実践を行い、学習効果の検証を行いました。このサービスには、最先端プロジェクションマッピングなどのテクノロジーを使った“ミュージカル”「マグナとふしぎの少女」や原作ストーリーでもあるファンラーニング型・英語学習アプリ「マグナとふしぎの少女」や関連するツールなどで構成されています。このサービスを用いることで、児童が英語学習を楽しみながら自主的に行うようになったとの報告がありました。