今回は理科の授業について考えてみます。以下ではICTや図書館を使った情報収集について書きますが、特に、小学校の理科は実験や観察などを子どもたちが実際に体験したほうが、そのおもしろさは伝わりやすいです。これから科学技術がどれほど進んでも、子どもたちの体験活動の重要性はなくなりません。このことは肝に銘じておきましょう。
学校の中で観察がしづらいテーマとして、小学校4年生や6年生に出てくる月などの天体の学習があげられます。観察しようとすると、時刻はどうしても夜になりますし、継続的な観察も簡単ではありません。こうしたときこそICTの出番です。とは言え、ここでは前回と同じく、インターネットにつながった1台の教師用パソコンしかないという環境を想定してみます。でも1台あり、良いサイトを知っていさえすれば、かなり多くの情報を集めることができます。
まずは信頼できるインターネットのサイトを見つけ出す必要があります。この作業は、本来は学校司書や司書教諭の仕事ですが、身近にいなければ、今回は私たちデジ読評価プロジェクトが2018年3月に出した『学校図書館はデジタルもアナログも』という活動報告を紹介しましょう(近いうちに、デジ読評価プロジェクトのサイトにアップされるはずです)。ここの活用プランの小学校理科のところを見ると、月の動き等の学習に使えるデジタルコンテンツの例として、「Stella Theater Lite」と「ダジックアース」があげられています。どちらも個人や学校で使う場合は、無料で入手できます。前者は、様々な地点の様々な星空を、パソコン上で見ることができるソフトです。また後者は、球形のスクリーン(手作りも可能、ボール等を使ってもよい)にパソコンからプロジェクターによって地球や惑星を投影することができるソフトです。特別な装置は不要です。これらを使った授業例が、上記の活動報告に載せられています。
もう一つ、この活動報告には載せられていませんが、東京都三鷹市にある国立天文台が作成した「Mitaka」という無料のソフトも、子どもたちを興奮させること間違いなしです。宇宙空間に飛び出して、月や火星の表面さえ見ることができるのですから。これらに共通しているのは、1台のパソコンに、無料で簡単にダウンロードできる信頼性の高いソフトということです。
こうしたソフトを試してから、前回紹介した「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」を見てみると、星や月に関する本がいくつか紹介されています。私たちは信頼できるサイトや、良い本の探索と紹介は、学校図書館の重要な役割だと考えています。一般の検索サイトではなく、学校図書館関係者が作成したサイトこそ、高いレベルの情報にアクセスする窓口なのです。このことをぜひ知ってもらいたいと思っています。