Vol.221あなたの判断は?Yes or No?
~防災教育で培う問いを生み出す力~

 災害時は、ジレンマを伴う重大な決断の連続です。この重大な決断をするという経験を、ゲーミングという手法を用いて、楽しみながら行うことで、自分自身との対話、他者との対話を促すことができるのではないかと考えました。自分や他者との対話を繰り返すことにより、次々に新たな状況、想定外の状況に直面していきます。そのとき、想像力の限界だと諦めるのでしょうか。災害時には、想像を超えたものに対して、考えることをやめないことが重要です。ゲーミング手法により、子どもたちが主体的に状況に働きかけ続けることによって、考えることをやめない状況を作り出せると思います。

Crossroadクロスロード(災害対応カードゲーム)

 Crossroad(クロスロード)は、チームクロスロードによって考案された、文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の成果物です。ゲーム名になっている「クロスロード」は英語で「帰路」、「分かれ道」を意味します。災害に関わる判断の難しいジレンマを抱える課題に対し、あらゆる立場や情報、状況を瞬時に分析して、自分なりのYes or Noの意思決定(理由も含めて)が求められるゲームです。
 5人以上の奇数人のグループで行うのがおすすめです。多数決で勝敗が決定します。しかし、YesかNoと答えた人が1人だけとなった場合は1人の人が勝ちです。つまり、「多数の意見で決まり」ではなく、少数・多数に関係なく、あらゆる立場の意見を尊重し、総合的に判断していくことが大切であるということをこのゲームを通して学んでほしいです。

(ゲーム例)実際に考えてみてください。

 さて、先ほど、「Yes or Noの意思決定」が求められると言いました。しかし、意思決定をしていく中で、一見問題解決をしているように見えて、「もし、状況が〇〇だったら?」、「〇〇という立場だったら?」など、新たな問いも生まれてきませんでしたか。ゲームのプレイヤーという立場がそうさせるのかもしれません。生まれた問いについてまた解決に取り組み、さらに問いを生み出す。『防災』をテーマに学習を進める中で、いざというときに『自分の命を守る力』だけでなく、『問いを生み出す力』も養っていけるといいなと思います。

東京学芸大学教職大学院在学生
元横浜市立屏風浦小学校
伊藤汐里
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