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Vol.068ダイバーシティと共生社会①障害者差別解消法の中の教育課題

68_pic_01  ダイバーシティ(diversity)とは、幅広く異質なものが存在することで「多様性」と訳されることもあります。ここでいう異質とは年齢、人種、障害のように外見で分かる属性だけではなく価値観や収入、趣味など様々なものを含みます。そして、多様さに対して寛容であることが大事だという文脈でダイバーシティは使われることが多いのです。かなり市民権を得てきたことばだと思うのですが、“ググる”とお台場にあるショッピングセンターが検索されてきますので、多様性を認め合う世界はまだ道半ばのようです。共生社会の実現に向けて重要なキーワードであるダイバーシティを取り上げながら、3回シリーズで話をしたいと思います。

 さて、平成29年4月で障害者差別解消法が本格実施になって、1年になります。この法律は国連の障害者権利条約を批准する前提として2013年に成立したもので、「障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」と極めて当たり前のことを謳ったものです。国際条約を批准する時には、国内の法律がそれに抵触しないかをチェックする必要があります。民主党が政権を取った時に障がい者制度改革推進本部が設置され、そのメンバーの半数は障害当事者や家族が選ばれました。すると教育関連でも差別の可能性が指摘され、特に「子どもが通う学校は誰が決めるのか」ということと、「特別支援免許のない教員による指導」が問題視されました。公立小中学校の場合は、教育委員会が学校を決めています。ですから、障害のある子どもの場合は、家から遠い特別支援学校に行かされていたわけです。地元の学校で近所の子どもたちと一緒に学ぶことを願っていてもかなえられないのは、差別に当たるのではないかということです。こちらに関しては、これまで「就学指導」と呼んでいたものを「就学相談」として、保護者等の意見を最大限受け入れる形で学校選択できるように変わりました。

 ただ、2つ目の無免許問題に関しては、特別支援学校でいまだに免許保持者が7割強と解決されないままです。この問題は教員養成の旗艦大学である東京学芸大学にとっても、全国にリーダシップをとるような取り組みが期待されています。

東京学芸大学教授
濵田豊彦
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