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Vol.052心の声をきく— 信頼関係から築かれる子どもの育ち—③育っていく子どもを暖かく支える

52_pic_01  小学生というと“幼い子ども”というイメージをもたれている気がします。ところが日々高学年の子どもたちに接している私からすると、高学年の子どもたちは大人と何も変わりませんね。経験の違いはありますが、人との関係をうまくつくれる子は、人付き合いが苦手な大人よりずっと接し方がうまいですし、大人が思うほど考えていることは未熟なものではありません。6年生ともなると心の中もずいぶん複雑になってくるものです。
 子どもたちは友達関係や勉強のことで悩みます。友達の思惑に振り回されるようになり、そのたびに悩みます。ちょっとしたこそこそ話に怯えたり、悪い噂を信じて心ないことを昨日までの仲良しにしたりします。中学受験に向かって無理な勉強をしている子どもたちも悩んでいます。中には週7日間の塾通い、帰宅は毎日10時過ぎ。夕食は塾に行く前に家族より一足先に一人で食べて、帰宅後宿題をしながら小腹を満たす夜食を食べると言います。年明けには最後の追い込みということで、全く学校に来なくなるという徹底ぶりです。子どもの悩みはテレビやゲームを見ないので、何が流行っているかわからないことだとか。それでも「こういう生活は自分にとって必要なので、これでいいんです」と言い切るのです。心配ですね。
 もちろん、いろいろな試練を乗り越えて成長していくのですから、応援したいと思っています。だから教室では、「本当に言いたいことを手放しちゃいけない。弱さを隠して無関心を装っては、いつまでたっても強くなれないよ」と言い続けています。本当は話したいと思っていること、許せないと心の奥底で思っていることをどうキャッチするか。それはやはり静かに見守ることでしょうか。まずは“じっと追う”、そして“そっときく”。そうされると子どもたちは少し楽になるようです。こうして信頼関係を築いていくこの営みも、日本の学校独特の学びをつくっているのではないかと思います。
東京学芸大学附属世田谷小学校教諭
齋藤豊
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