今日の中学校の社会科地理的分野や高等学校の地理総合におけるいわゆる「身近な地域学習」では、その地域的課題を把握し解決方法を考えることが重視されています。一方、身近な地域の特徴そのもののとらえ方については、市区町村について学ぶ小学3年生以降は学ぶ機会が少なく、地域の特徴をとらえる方法を知らないままその課題と解決方法を学んでいる状況といえます。
地域の特徴のとらえ方を端的に述べるのは困難ですが、私は地域構造図としてまとめるのも有効な方法のひとつと考えています。地域構造図にはいくつかの種類があるため(牛垣2024)、ここでは著者の地元である川崎を事例にいくつかの種類の地域構造図の特徴を紹介させて頂き、地域の特徴をとらえる際の参考にして頂ければと思います。
【事象・要素の関係性を重視した動態地誌的な地域構造図】
図1は、川崎で主にみられる事象・要素とそれらが生じる背景を因果関係として矢印で結んだもので、事象・要素の関係性を重視した地域構造図といえます。

また人口が多いのはオフィスが集積し就業先である東京都心部に近接すること、かつて工場が集積したのは人口が多く大消費地である東京に近接することが大きな理由であるため、川崎は、工業都市時代も今も、東京との近接性が地域的特徴に大きく影響しています。
【歴史的視点を重視した地域構造図】

【空間的視点を重視した地域構造図】
これらの図は分かりやすい反面、南北に細長く多様性に富む川崎を一括りで扱ってしまう弱点もあります。そこで図3は、川崎の内部を2次元で面的にとらえたもので、空間的視点を重視した地域構造図といえます。

以上のように、地域構造図にはいくつかの種類とそれぞれの特徴があります。地域の特徴をどのようにとらえるかによって、それを表現する方法が異なります。どのような地域構造図を描けば、地域の特徴を適格に表現することができるか、子どもたちとともに考えてみてはいかがでしょうか。