Vol.106カリキュラム・マネジメントとは①
なぜ、カリキュラム・マネジメント?

2018.04

 「カリキュラム・マネジメント」と聞いて、どのようなイメージをもちますか。おそらく一人一人違うイメージをもつのではないかと思います。私は、「カリキュラム・マネジメントとは児童・生徒の資質・能力を育むためにできるすべてのことを計画的に行うこと」と捉えています。では、なぜ、カリキュラム・マネジメントの充実がうたわれるようになったのでしょうか。それは現時点では、「学校全体での組織的かつ計画的な取り組み」と「深い学びの実現」が十分ではないからだと考えています。

 みなさんの学校では「学校全体での組織的かつ計画的な取り組み」ができています。私は反省すべき点が多分にあります。新年度になり、前年のことを引き継いで学年運営されることが多いと思います。多忙な教員にとっては当然のことであり、否定されるものではありません。しかし、そこに、どこまで「児童の実態」「教育目標」等が意識されているでしょうか。「昨年もやっていたから、今年も一緒でいいよね。」といった例年主義がないでしょうか。「児童の実態」「教育目標」が置き去りにされて、学年の都合によって、決まってしまうこともあるでしょう。そういった所謂「大人の都合」ではなく、「チャイルド・ファースト」で物事を考えていきましょうというメッセージが、カリキュラム・マネジメントの充実に込められているのではないかと思います。

 「深い学びの実現」についても、同様のことがいえます。児童・生徒の資質・能力を育むためには、深い学びの実現は必須です。「アクティブ・ラーニング」という言葉が出る以前から、45分間の授業の改善を多くの教員が取り組んでいます。日本の教員の素晴らしいところだと思います。しかし、1年間を見通して、教科等横断的に深い学びを考えた授業実践はまだまだ十分とはいえません。例えば、国語で学んだ話し合いの仕方や発表の方法等は、総合的な学習の時間での課題解決に向けての話し合いやその発表等でも使うことができます。身に付けたことを他の教科等で発揮できるよう、教科等横断的な授業を展開していくことは児童の資質・能力を育むことにつながると考えます。

 私が考えていることを述べてきましたが、決して私ができているわけではありません。カリキュラム・マネジメントという言葉を聞いて、改めて自分自身を見つめ直しています。次号では、反省しきりの私が「こんなことをやっていきたい!」と考えていることを述べていきます。児童・生徒のの資質・能力を育成するために、一緒にカリキュラム・マネジメントを考えていきませんか。

東京都調布市立第三小学校指導教諭
小島大樹
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