Vol.192新しい病原ウイルスと共生するための健康教育②
学校における感染症対策の現状

 ここでは、前回に続き感染症発生時の対応と、新型コロナウィルス感染症対策禍、学校再開となった現在の学校の取り組み状況について紹介します。

1)感染症発生時の対応
 感染症が発生した場合には、感染症の拡大を防ぐために早期発見と初期段階での適切な対応が重要となります。そのため感染症発生時に、養護教諭など対応する担当者と役割をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
 そのうえで、学校内で感染症が発生した場合、各教員は、所定の様式による健康調査票や健康観察票に従って、発生状況や欠席状況、健康状態を調べ、養護教諭等の担当者に報告します。さらに養護教諭等は、管理職に報告するとともに、教職員に状況を周知し、児童生徒への手洗いや咳エチケットの指導を徹底し、感染拡大の防止策を講じる必要があります。さらに感染拡大防止策として、学校保健安全法で定められた出席停止(第19条)や臨時休業(第20条)などの措置をとる必要もあります。

2)学校の現状と今後の課題
 日本健康相談活動学会では、学校での新型コロナウィルス感染症対策の現状や困難点などについて、養護教諭に緊急アンケートを行いました。
 その結果、学校においては、健康観察の徹底、感染症の知識や予防方法、手洗いなど健康教育の充実、消毒の徹底、保健室等で清潔と不潔をいくつかのレベルに分けるゾーニングの工夫、教職員の研修会の実施、授業や給食、清掃等学校の生活時間の調整、体調不良者の対応ルール作りや相談体制、感染症者発生時のフローチャートやマニュアル作りなど、多種多様な対策が行われていました。
 一方で課題としては、感染症対策に関することはもちろん、それ以外の児童生徒の健康課題が多く指摘されています。例えば、家庭での自粛期間が長期に及んだことにより、子どもたちの生活リズムの乱れや体力低下のおそれがあること、登校しぶりや不登校の懸念があること、学習の遅れを取り戻すための過度の課題やストレスがあること、心身に課題のある子どもの対応が遅れがちなこと、虐待や貧困など脆弱な家庭環境にある子どもたちへの安全の確保や支援が遅れていること、などです。
 今後、新型コロナウィルス感染症の第2波、第3波に備え、教職員が正しい知識と情報のもと、地域の状況に合わせた感染症対策を講じることはもとより、今、目の前にいる児童生徒の生活や心身の状態を見極め、ニーズにそった教育を行うことが求められます。

 日本健康相談活動学会のホームページでは、行政からの情報や、養護教諭へのアンケート結果、学校で行われている様々な実践を精力的に紹介しています。参考に御覧ください。

 日本健康相談活動学会ホームページ
 http://jahca.org/top/

東京学芸大学 教授
竹鼻 ゆかり
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