Vol.092養護教諭との連携を踏まえた子どもたちの支援①
健康課題とその解決に向けて〜養護教諭との協同について考える〜

2017.11
 現在の子ども達は、様々な健康課題を抱えており、その背景にいじめや虐待、貧困などの問題を抱えている場合があります。養護教諭は、学校保健活動の中核的な役割を果たしつつ、そうした問題を抱える子ども達の支援を行っています。養護教諭の具体的な職務は、救急処置・健康診断・疾病予防などの保健管理、保健教育、健康相談活動、保健室経営、保健組織活動などですが、それに加え現在は、学校内での連携や、学校と関連機関や地域などと連携していく際の、コーディネーターの役割も担っています。
 一般教員同様、養護教諭の職務も多岐にわたりますが、お互いが多くの職務を抱える中、どのように両者が協同して子どもたちの支援にあたっていけばよいでしょうか。まずは一般教員ができることを考えていきましょう。
 2017年3月に文部科学省が作成した「現代的健康課題を抱える子供たちへの支援 〜養護教諭の役割を中心として〜」には、支援の必要な子ども達を把握するために、学級担任ができることとして、「①児童生徒の変化にいち早く気付ける立場にあることを常に意識し、観察する力の向上に努める。」、「②健康観察を通して、児童生徒に自他の健康に興味・関心をもたせ、自己管理能力の育成を図る。」を挙げています。ここでは学級担任とありますが、教科担任や部活動の顧問も、児童生徒を観察する能力を向上させ、健康観察を上手く活用することができます。
 健康観察こそ養護教諭の執務、と考える人も多いかと思いますが、健康観察を上手く活用し、健康観察を通して養護教諭と協同して子どもたちの支援を行うことができます。
 次回は、どのように健康観察を利用して養護教諭と協同した支援ができるのか、考えていきたいと思います。
 
関連サイト:「現代的健康課題を抱える子供たちへの支援 〜養護教諭の役割を中心として〜」http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2017/05/01/1384974_1.pdf
 
東京学芸大学講師
荒川雅子
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