Vol.209SDGsのための教育と未来への学び①
SDGsとその教育が目指すもの

2021.2

 SDGsという言葉を目にしたり、耳にしたりする機会が様々な場面で増えてきています。SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことで、2030年までに世界が取り組むべき17の目標として2015年9月に国連総会で採択されました。国・自治体や企業もSDGsの達成に向けて取り組むことが求められており、最近では特に企業の取り組みも活発になってきました。
 SDGsに関する教育は「持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)」とも言われ、学校教育においても徐々に広がっています。新しい学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されたこともあり、学校の授業や活動でSDGsを扱うことが増えてきました。児童生徒向けのSDGsの書籍の発売も続いています。

 環境やエネルギー、開発途上国等について扱う教育はこれまでも学校で行われてきました。しかし、現代において新たに取り組むべき課題は他にもたくさんあり、そしてそれらの課題はそれぞれに関連し合っています。SDGsの17の目標は、貧困、ジェンダー、健康と福祉、経済成長なども含めて、現代的課題を包括的に示しており、子どもたちがそうした課題を知り、考える入り口として効果的だと思います。

(出典 国際連合広報センター)

 誰もが幸せに生きていくことのできる世界は、昔から人々が願い、目指してきた世界です。ある国や地域では、特定の目標については達成できているものもあるかもしれません。しかし、比較的発展している国や地域でも、まだ達成できていない目標がたくさんあります。我々は協力して、知恵を出し合い、新たな発想でSDGsの達成を目指していく必要があります。そして、それを担っていくのは子どもたちでもあります。SDGs達成の担い手を育てる教育は、未来に向けて日本の学校に求められている新しい教育への扉を開く可能性があります。

東京学芸大学 教授
松尾 直博
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