運動に苦手意識をもつ児童の多くは、何をすればよいか分からないという不安を抱えたまま授業に臨んでいます。何をすればよいか分かると、見通しをもって安心して取り組むことにつながります。「物事は、初めが肝心」という言葉をよく聞きます。そのために、単元導入時には、運動のイメージをもつことができるように自作の映像資料を用いました。作成には多少時間はかかりますが、教師が言葉で説明するよりも理解しやすく、学習内容に迫りやすいといった利点の方が多くありました。
どのように学ぶかも大切です。子どもたちの切実性と課題をどのように擦り合わせていくかがポイントになります。授業での様子や学習カードから困り感を把握し、次時の授業に生かすことができれば、主体性を引き出すとともに、段階的に思考を深めることにもつながります。その点から、学習カードはとても重要な役割をもつことを改めて実感しました。
体育科、保健体育科では、「豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育成すること」が重視されています。そのために、運動や健康に関する課題を発見し、その解決を図る主体的・協働的な学習活動を通して、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」を育成することが目標として示されています。
運動の好き嫌い、得意不得意に関係なく、全ての子がその資質や能力を育むためには、どうすればよいのでしょうか?ユニバーサルの視点を基に、運動が苦手な児童や運動に意欲的ではない児童が、少しでも運動に前向きに取り組むことができるように、学校全体で授業改善に取り組んできました。
指導者の先生方からは、「ユニバーサルデザインとして、どの子も楽しめるように綿密な計画を立て、明確なゴールイメージをもって課題解決の学習に導いていたことがよかった。」と評価をいただくことができました。ユニバーサルの視点を大切にした体育授業を通して、多くの児童の運動に対する肯定感を高めることができました。しかし、未だ不安を抱えている児童もいます。
全ての児童が安心して体育授業に取り組むことができるように、個別支援が必要な児童へのアプローチの仕方について、有効な手立てを組織的に検討していく必要がありそうです。