Vol.094養護教諭との連携を踏まえた子どもたちの支援③
先入観にとらわれないために~これからの養護教諭に求められていること~

2017.11

 養護教諭は、多くの学校で校内に一人のいわゆる一人職です。そのため職務の遂行には、他の職種の方々と連携していくことが不可欠ですが、その際に気を付ける点はあるのでしょうか。

 養護教諭が連携の取りづらさを感じる点として、なかなか情報共有ができない、養護教諭を頼ってくれない、などが挙げられます。しかし、ちょっと視点を変えて、外から保健室を見てみてください。実は締め切った保健室は、養護教諭が思うよりもずっと閉鎖的です。忙しいのかさえ分からないところに、わざわざ相談に行かないのも無理はありません。“養護教諭は日陰の存在でよい”、“縁の下の力持ちだから自分自身が前に出なくてもよい”、と考えている養護教諭もいるかもしれませんが、今の時代は、養護教諭自ら、どんどん発信していく必要があるのです。

 話は変わりますが、男性の養護教諭が全国で少しずつ増えてきているのをご存知ですか。全国で4.1万人のうち男性はわずか68名(2015年)1)ですが、複数配置校や特別支援学校などを中心に、徐々に増えてきています。男性の養護教諭なんて…と、先入観にとらわれているのは、実は養護教諭自身なのかもしれません。

 養護教諭は学校保健のプロデューサーになってほしいものです。
それは、“学校”というテレビ局の中で、「学校保健」という番組を作成するために、ある時はリーダーシップを発揮し他の人を動かし、またある時は自らが番組の作成に携わる、ということです。そのため、養護教諭はこうあらねばならない、といった先入観は捨て、その学校で求められていることを行う必要があります。

 様々な先入観にとらわれず、これからは、自ら発信できる養護教諭となって、他の先生方や保護者、地域の方々と共に手を取り、子ども達の支援をしていきましょう。その活動はやがて、子ども達の健やかな成長へとつながっていくでしょう。

【参考文献】
1) 川又俊則、市川恭平:「男性養護教諭がいる学校」かもがわ出版、2016.8.5

東京学芸大学講師
荒川雅子
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