Vol.199人とのつながりを大切にして、アフターコロナに備えよう 3

2020.10

 今までの私の体験や研究員を担当した時のことを考えると、相手のことを知ることで、より議論が盛んになり、研究も深まっていくと考えます。しかし、現代において、特にコロナ渦の今は人との接触を減らすため、肌と肌が触れ合いながら相手を知ることはなかなかできません。それでは、どうしたらいいのでしょうか。相手を知ると議論が盛り上がる。議論が盛り上がると相手のことがよくわかってくる。このことから、相手をよりよく知るために率直な意見を交わしてみたらいかがでしょうか。いきなり、SNSで率直な意見交換は難しいかもしれませんが、部会等の数人程度のリモート会議ならば、顔も見えるので、できるのではないでしょうか。人間関係がまだ醸成されていない中で議論を交わすのですからある程度の「壁」はあると考えます。しかし、その壁を乗り越えれば、たとえリモート会議であっても人間関係が築けると思います。
 学習の展開や支援について、何が子どもたちのためになるのか、子どもが主役となって活躍するためにはどんな工夫をすればよいのかというように、「子どもを中心」においた議論は、子どもたちのために、研究を進める仲間ですから、相手を理解しより身近に感じられるようになると思います。
 ただし、こんなことを言っている私はリモート会議が1時間も続くと心身ともに疲れて、ボーっとしてしまいます。
 熱い思いを持った皆さんには、ぜひその熱意で「壁」を乗り越えてほしいです。

 当たり前のことですが、教育は人を育てます。人を育てるには人の温かさを感じることが大切です。肌と肌が触れ合い、直接話をし、表情やしぐさから感じることが大切です。新型コロナウイルスが収束したら、人と人の触れ合いを大切にしてほしいです。そのための準備期間として、SNSでもリモート(会議・飲み会)でも、人とのかかわりを持っていてほしいです。子どもたちの前に立つ人間として、人の温かさを感じる、感じさせることのできる人となってほしいです。そして、将来、口角泡を飛ばし合って議論をしあえる場面が訪れることを願っています。もちろん、飲みニケーションの復活も大歓迎です。

 私はいま幼稚園で、ソーシャルディスタンスをとらせるために「はなれて」の言葉は使いません「広がって」という言葉を使います。また、お弁当の時間も「黙って」ではなく「モグモグタイム」など食べることに集中できる言葉を使います。新しい生活習慣でも人と人が触れ合うことを否定的にとらえられるような言葉やマイナス的な言葉を控えるようにしています。これは子どもたちに笑顔で幼稚園生活を送ってほしいからです。

 最後になりましたが、今回の原稿を書くにあたり、人と人とのかかわりや新たな教育・保育の仕方を見直すきっかけを与えていただいたことに感謝いたします。
 これからも「子どもが主役」となれる教育を進めていきたいと思います。

学校法人 西武学園
たかとり幼稚園長 山﨑涼二
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