Vol.123現代の子どもの食生活①
子どもたちの食生活の現状と課題

2018.09

 現在、日本人の死因の半数以上は生活習慣病であり、この病気は長年の生活習慣の積み重ねから生じるため、子どもの時期からの健康的な生活習慣の確立が必要です。中でも、生活習慣病予防の観点だけでなく、生活習慣のリズムをつくる観点からも「食事」は重要な要素です。

 では、現代の子どもの食事はどのような現状にあるのでしょうか?子どもたちの食生活上の問題の1つとして、朝食欠食の増加が指摘されています。朝食欠食は、肥満などの身体的な変化、好ましくない精神・身体的症状や学力の低下に結びつくとされています。平成28年の国民健康・栄養調査における朝食欠食率は、保育園児:10.1%、幼稚園児:7.2%、小学校低学年:5.9%、小学校中学年:7.9%、小学校高学年:5.0%、中学生:6.8%、その他の学生:17.0%とされています1)。ここでいう欠食とは、「全く食べない」ことだけでなく、「菓子や果物のみ」や「錠剤のみ」も加えられています。「全く食べない」者は、その他の学生では9.1%ですが、中学生:1.9%、小学校高学年:1.5%、小学校中学年:0.8%、小学校低学年:0.7%と、年齢が下がると少ない状況です。それ比べて多いのは「菓子や果物のみ」の割合です。全く食べないより何か口にした方がよいのですが、果物や菓子だけで昼食まで活発に生活することは困難です。あらためて、何のために、何を食べるのかについて丁寧に子どもたちに伝えていく必要がありそうです。また、朝食欠食は、一日の活力低下につながり、運動量が不足した結果、寝付けない、さらに朝が起きられず、時間がなくてまた朝食欠食へ、という悪循環が起こります。子どもたちに「早く寝なさい」の声かけも重要ですが、早く寝かせることは案外難しく、朝、決まった時間に起こし朝食を食べさせることで生活リズムの改善に成功した例を多くみてきました。「朝食を食べること」が1つの生活習慣改善、健康な生活づくりのカギになりそうです。

東京学芸大学准教授 佐見由紀子
1) 厚生労働省:平成28年国民健康・栄養調査報告、2017年
(その他の参考文献)
・藤澤良和:子どもの欠食・孤食と生活リズム、第一出版、2010年
・小林奈穂、篠田邦彦:幼児、児童、生徒の朝食欠食を促す要因に関する系統的レビュー、新潟医療福祉学会誌 7(1)、2-9、2007年
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