大学の入試改革が始まります。そもそもなぜ、改革が必要なのでしょうか。2021年1月から、現在行われている「大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト」に代わります。この改革により、「大学教育」と「高校教育」をつなぐ「高大接続」の在り方が変わると言われています。当然高校教育も変わりますし、それ以前中学校、小学校の教育の在り方も連動する「大改革」と言えるのです。
現在、私が勤務する大学でも「アクティブ・ラーニング」を取り入れた授業を行うことが求められています。「いかにして大学生に学ばせるのか」というFD(ファティカル・ディベロップメント)研修が実施され、大学教員が学び合います。学生を前に講義を提供するだけの授業ではなく、学生が思考を働かせ、能動的に学んでいく授業が求められます。ただ単に大学での教え方を変えるというものではなく、批判的思考力や協働して課題を解決する力の育成などを重視したものです。
大学のホームページを見ると、どの大学にもそれぞれの「三つのポリシー」が示されています。2017年からその策定・公表が文部科学省により義務付けられたのです。
アドミッション・ポリシーに示される学習成果とは、「知識・技能」「思考力・判断力、表現力等の能力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の三つの要素とされます。これは、次期学習指導要領に示された育成すべき資質・能力です。
各大学は、学生にどんな教育をして、どんな力を身に付けさせて卒業させるのか、そのためにどんな人物を入学者として求めるのかを示しています。こうした背景もあり、各大学では思考力を重視することやグローバル化に対応する教育をしていくことになったのです。大学入試改革は、大学教育の在り方と直結し、そこに至るまでの学校教育の在り方をも改革することを指しているのです。