CREDUON

Vol.066思い出のつまったプレゼントをあげよう②3月の紙テープ

66_pic_01  これは、私が昨年度まで勤務していた、三宅島での毎年3月の光景です。

 三宅村立三宅中学校は、全校生徒が約30名の小規模校です。三宅島という土地柄、生徒のほとんどが、小学校から中学校までの9年間を共に過ごします。島内には高校もあるため、中学校卒業後は、そのまま島内の高校に進学する生徒が多く、ほぼ小中高の一貫教育となっています。しかし、毎年少なからず、島外の高校へ進学する生徒もいます。その子どもたちとの別れとなるのが、中学校の卒業式であり、その後の船の見送りです。

 夏の観光シーズンに比べると観光客が少ない12月〜3月の港は、普段は閑散としていますが、3月末のこの時期だけは、島外へ旅立つ人を見送る人々でいっぱいになり、埋め尽くされます。島を出て進学や就職をする人たちに向けて、島の人たちが激励の言葉で送りだします。

 島に赴任してきた1、2年目は、このたくさんの人々の中で、お祭りのようなにぎやかさに、島の人たちの温かさを感じました。また、船が遠のくにつれ、海に沈んでいく紙テープに、「これでもう簡単に会うことができないんだ」という寂しさを感じました。

 3年目に自分が送られる側となり、内地に戻る日がきたとき、三宅島で受け持った生徒たち、同僚の先生方、お世話になった島の人たちのたくさんの姿が見送りのときに見られました。甲板に上り、紙テープを港に向けて投げると、それを受け取ってくれる生徒たちの姿がありました。1人1色の紙テープの端が私の手の中につながっていると思うと、島の人たちが今までどんなにたくさん別れを経験してきたのか、悲しさが込みあがると同時に、今こうやって紙テープでつながっている瞬間がずっと続くような気がして、「このまま終わるのではなく、これからも島の人たちとのつながりを大切にしていきたい」と思いました。

 3月の紙テープは、生徒、教員、保護者や地域の方々、たくさんの人とのつながりを感じさせられました。島から旅立っていく人々へ、これは永遠の別れではなく、まだこれからもつながっているよということを伝えてくれる、島と内地の人々をつなぐ大切な紙テープだと思います。

杉並区立杉並和泉学園教諭
上出美希
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