いろいろな子ども達がいるのと同じように、その子ども達が日々過ごす教室も様々な顔ぶれがありますね。今回は、そんな教室の雰囲気作りの大きな要素の一つである「教室掲示」に焦点当てます。すでに日常的に行われている教室掲示ですが、その部分を改めて見つめ直してみると新しい発見があるかも知れません。
新学期、まだ何もない教室の壁をどのような掲示物で飾るか。考えるだけでも愉しい。私は小学校の教員時代は教室掲示についてはいくつかのこだわりを持っていました。若い頃は、とにかく先輩の教室を見せていただいたものです。小学校の教室掲示は、情報を伝えるだけの「掲示板」とは違う。児童の作品を展示するギャラリーであり、教室を明るくしてくれる装飾であり、そして学びの履歴を蓄積するポートフォリオでもあります。教室掲示は、児童と教師が共有する「巨大なノート」のような存在です。
研究会などで別の学校にお邪魔するときにも掲示物は関心事でした。特に印象的だったのは、長野県の伊那小学校で拝見した教室掲示です。「総合的な学習」の時間の学びが模造紙で掲示され教室を飾っていました。子どもたちの発見や話し合いの中身、そして見学に行ったときの写真等が記録され、学びの道筋が実によくわかる掲示物でありました。私も早速参考にさせていただき、教室掲示の一部をそのようなコーナーにして行くことにしました。
この写真は、暗渠になった緑道のひみつをクラスで探究した学びの履歴が記された掲示物です。この学習では、子どもたちは学びの道筋を確認しながら進めていくことができるメリットがありました。また、ノートの取り方を教える教材としても役立ちました。
次回に続く
東京学芸大学准教授
鈴木 聡
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