新学習指導要領は、未知の問題にも積極的に対処し、解決する子どもの育成を重視しています。この新しい考え方に対応する学校図書館の新しい役割とは何でしょうか。
新しい学校図書館の役割を考えるために、ここで「情報」という言葉を考えてみます。現代教育の文脈で「情報」と言われると、私たちはパソコン等を使った情報教育を考えがちです。新学習指導要領(小学校)の総則にも「情報活用能力の育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え」(第三−1−(3)、8ページ)とあります。この後にはプログラミングのことも書かれているので、情報に関わることはコンピュータ等に限定されているように見えてしまいます。
ですがよく読むと、同じ項目に「各種の統計資料」や「新聞」の活用も挙げられていることがわかります。これらはネット上の情報に限定されていません。別のところでは、地域の図書館等を利用して情報収集することも推奨されています(総則第三−1−(7)、9ページ)。これらから新学習指導要領における情報およびその収集はコンピュータ等によるものに限られていないことがわかります。むしろ図書館も重要な情報収集の場だと考えられているのです(このことは国語や社会の記載を見ると、一層はっきりします)。
ここで考えなければならないのは、本に比べてデジタル情報が絶対的に優れているわけではないということです。むしろそれぞれがメリット・デメリットをもっていると考えるべきですし、相互に補完するものと考えるべきです。このように考えると、新学習指導要領が求めている情報活用能力の育成は、学校図書館の課題でもあるのです。
私たちが、ややもすれば陥りがちな「図書館/コンピュータ」、「本/デジタル情報」という二分法を捨ててみると、多様な情報を整理しながら、未知の課題に対処する子どもたちの情報活用能力を育成するという新しい学校図書館の役割が見えてきます。この新しい学校図書館を、私たちは〈学校図書館〉と表したいと思います。次号(9月号)では、〈学校図書館〉が具体的にどのようなことができるのか、実践例等を含めてお伝えします。
デジ読評価プロジェクト
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