新学習指導要領には、目標となるはずの「持続可能な社会」がどのような社会なのかは説明されていません。そこで、この学習指導要領の基本的方向性を定めた中央教育審議会(中教審)が平成28年12月に出した答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」を見てみましょう。これもネット上で引くことができますが、様々な答申が出されていますので見つけにくいかもしれません。この答申は「中教審第197号」という文書なので、困ったらこの数字でさがします。現代の教育課題にいろいろな視点から触れているので、参考になる点が多いと思います。
さて、この中教審答申では「持続可能な社会」について多少の説明はされています。しかし、より重要なのは社会の変化が「予測困難」になっているという指摘です(10ページ)。基本的には審議会も国も、将来のあるべき社会をうまく予測できていないのです。ただし、むしろこうしたことを前提として、予測できない変化に主体的に向き合って関わる子どもを育成することが重要であると書かれています(11ページ)。既存の知識を教えるだけでなく、既存の知識では対応できない未知の問題にぶつかっても、それに積極的に対処できる子どもを育てるのが教育の重要な役割だというのが、新しい学習指導要領の中心的な趣旨です。これは新しい考え方だと言うことができます。
こうした指導要領の中で、学校図書館はどのように位置付けられているのでしょうか。学校図書館については何カ所かで言及されていますが、そこを読んでも上記の新しい考え方に対応した学校図書館の役割は明確には書かれていません。学校図書館の新しい役割は、むしろ「情報」という言葉をさがしていくと浮かび上がってきます。情報を収集したり、理解したり、活用する能力の必要性は、指導要領でも答申でも強調されていますが、実はそこに新しい学校図書館のあり方が示されているのです。
デジ読評価プロジェクト
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