主任教諭へ昇任し、若手教員へ助言を送る機会が増えたこの数年。私ができるアドバイスといえば「自分だったら」ということだけでした。「もっと良い助言はできないものか。」毎日もやもやの中で、目の前の仕事をこなしていく働き方をしていました。「本当にこれで良いのだろうか」と疑問をもち、管理職に相談をしたところ、快く教職大学院派遣研修に送り出してくれました。
1.教職大学院での学び
教職大学院で「越境学習」という言葉に出会いました。自分の安心できる「ホーム」を離れて、「アウェイ」に身を置くことで、「「自分はなにができるのか」を見つめ直す良い機会になる」(石山、2022)といいます。
また、「ホーム」に居続けることで「安住している自分と、このままではまずいという危機感を持つ自分との相克」(井上、2023)が生まれるという指摘もあります。
私の「これで良いのだろうか」という疑問は、「ホームに居続けたことによるもやもやだったのだ」と気づかれされました。と気付かされました。
越境学習という観点から、自分の人生を振り返ってみました。そうすると、たくさんの越境したことによる学びが、今の私の教育観を作り上げていることに気が付きました。
1.地域子供キャンプでの経験
学生の頃、地域の子供キャンプの引率をしていました。引率者は地域住民。特別なスキルはありません。そのため子供のしたいことをさせ、失敗は許そうという方針で引率しました。安全管理は講習を受け、大きな怪我だけはないようにしました。教師になった今、この越境学習は、「失敗は成功のもと」という教育観に結びついていることに気づきました。
2.東京教師道場での研修
東京教師道場では、自分の専門とする社会科を研修しました。自分よりも社会科の造詣の深い仲間達。自分の実力のなさを実感しました。この中で、自分は一体何ができるのか。悩んだ結果、自分の得意なICTを使った資料作成に取り組みました。
自分の強みは何かを考え直した越境学習だったことに気づきました。
3.先生方も、ぜひ越境を
このように、越境学習の経験は、さまざまに私の教育観に結びついていることが分かりました。教育現場で働いていると越境するチャンスは多くありません。しかしコロナ禍を経て、オンライン研修等も増えています。ぜひ、越境をしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
石山恒貴(2022)『越境学習入門』日本能率協会マネジメントセンター
井上功(2023)『CROSS -BORDER』ディスカバー・トウェンティワン