教材は体育授業の生命線と言っても過言ではありません。「わかった」「できた」経験を十分に味わうことができるようにするためには、「これならできそう」「少しがんばればできそうだ」といったように、運動とのよい出会いの中で、意欲的に挑戦することによって解決できるレベルの目標を設定する必要があります。このよい経験を繰り返すことで、少しずつ体育授業に肯定的な感情をもって取り組むことができるようになると考えました。
最も大切なことは、それを小学校6年間、継続して取り組むことです。無理なく、安心して体育授業に臨むことができるように、どの時期に、何を「わかってできる」必要があるのか、小学校6年間の系統性を見直すことにしました。
さらに、系統を基として、指導内容を明確にした単元計画を作成しました。計画に当たっては、ユニバーサルデザインの考え方を体育の学習に当てはめることにしました。ユニバーサルとは、最大限可能な範囲で、すべての人が使用することができる製品、環境、計画及びサービスの設計で、アメリカの建築家であり工業デザイナーでもあったロナルド・メイスらによって「ユニバーサルデザイン7原則」が提唱されました。本校があるさいたま市ではそれらを独自に、4つのプラス・ハートに読み替えています。
「だれにでも」当てはまるようにすることは、容易なことではありません。まず、授業を計画する際、どんなことに難しさを感じているのかを把握しました。当然、人それぞれ違いますから、その子の立場になって考えることが大切になります。個別の不安を軽減し、全ての児童が安心して運動できるように、実際の場面では、様々な手立てを講じていく必要があります。