Vol.047心の健康と生徒指導①若い教師と生徒指導

2016.08
47_pic_01  教師になって間がないころには、教師としての指導が上手くいかないことがたくさんあります。経験も少なく、教師としての技量もまだ十分ではありません。小学校教師3年目のAさんのクラスでは、教師の言うことがよくわからず、授業中、数人の子どもが勝手なことを始めてしまうようになりました。A先生は、子どもに注意するのですが、注意すればするだけ子どもに反発されてしまい、授業が進みません。A先生は学校へ行くのが重荷に感じるようになり、朝起きるのもつらくなりました。子どもに笑顔で接しようと思うのですが、子ども達の反応をみると、つい厳しく叱ってしまいます。このようなことが続き、学級の上手くいかない様子を聞いた管理職からも注意されてしまいました。同じ学年の先生は、気にしてくれているようですが、自分のクラスだけで忙しくて、なかなかA先生のクラスまで手が回らないようです。A先生は、次第に他の先生からも孤立し、周りの先生の目が気になり、学校にいると気持ちが落ち込んでしまうようになりました。
 A先生が気分転換をして、授業に工夫を凝らして、自分らしく子ども達を指導できるようにするためにはどうしたら良いでしょうか。心が落ち込んでいると、困っていてもなかなか周りの人や先輩に相談やアドバイスを求めることもできなくなります。そして自分だけが子どもの指導をうまくできないと悩み始めて、自分を必要以上に責めてしまいます。その結果、冷静に子どもの反応を見ることもできなくなってしまいます。とりわけ、特別指導が必要な子どもには、冷静に長い目でみることが必要で、周囲の意見も聞き、授業のやり方も研究してみることが、問題の解決となります。
東京学芸大学教授
佐野秀樹
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