Vol.034子ども達が自分の疑問に向き合える③「けんQノート」③

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 前回に引き続き「けんQノート」の項目③調べ方、④結果と感想について具体的に子どもたちのアイデアを例示しながら、大切にしたいことについてお話ししたいと思います。

③「調べ方」→いろいろなツールでの学びを体験させる!
 子どもたちの調べ方は大きく2種類あります。人に聞く方法と、自分でやってみる方法です。
 前者について、「疑問」の項目で紹介したバスの傾きに気がついた子は、休みの日にバスに乗って運転手さんに直接聞いてみたそうです。また、「どうしてぎんざのポストはみどり色なのか・・・!?」という疑問を思いついた子は、郵便局に電話して聞いてみたそうです。今の時代、ものごとの調べ方の大半が「インターネットで調べる」というものです。内容によってはインターネットに頼らざるを得ない場合もありますし、時代としてそのツールは必要です。しかし、その疑問に答えてくれそうな人たちに直接尋ねてみるという、人とのコミュニケーションを介した学びも大切にしたいところです。
 後者についてもとても面白い例があります。「にゅうよくざいを入れたおふろはみどり色なのに、どうして手ですくったらとうめいなの?」という疑問を思いついた子は、お湯の量に着目し、手で何回すくったら緑っぽく見えるのかを確かめてきていました。また、「なぜかたつむりはうごきがおそいの?」という疑問を思いついた子は、体のぬめりが原因で動きが遅いのではないかと予想したところ、調べてみると、脚がないから動きが遅いんだという結論に一旦は行き着きました。しかし、ここからです。その子は、脚がないと本当に動きが遅くなるのかということを確かめるために、自分で手足を使わずどのくらい動けるかを家で確かめたのです。次の日の朝の会で、「ぼくは1時間がんばっても41㎝しか進めませんでした。」と発表しました。こんな風に、自分の身体を動かして学ぶことも特に小学校では大切にしたいところですよね。
 この「調べ方」についてもう1点。高学年になると、結果の客観性を求める声も出てきます。「物知りなおばあちゃんに聞いた」という調べ方に対して、子どもたちから「おばあちゃんが言ってたって、それは正しいって言えるの?」という具合です。突き詰めれば科学論や科学哲学の話になってきますが、中学年くらいまではここにはこだわらない方が良いかも知れません。なぜなら、あくまでもこの「けんQノート」の最優先事項は、自分の興味や関心からスタートして能動的に学んでいくことだからです。それを阻害してしまうようならば本末転倒です。

④「結果と感想」→次の学びへつながるステップにする!
 この項目は基本的に調べたことを記述するだけですが、この項目は次の疑問を生んだり、他の人に興味を広げたりする意味があると思います。
 例えば、「どうして人間にはしっぽがないの?」という疑問について調べた子は、調べる過程で、人間と同じくチンパンジーにも尻尾がないということを知りました。つぎにその子は、実際に動物園に行って本当にチンパンジーに尻尾がないことを確かめ、さらに、他にも尻尾がない動物がいるかどうかを調べてきました。
 また、「国はたとえば日本とアメリカ、トルコ、アルゼンチンくらいだけでもいいのになんでそんなに国がある!?」について調べてきた子は、家族に聞いてみた結果、「生まれたところや考え方がちがうからだそうです」と発表しました。すると、それを聞いていた他の子が「じゃあ世界に国っていくつあるの?」という疑問を持ったり、宗教について興味を持ったりする子も出てきました。

 このように、結果と感想は次の疑問を生み疑問を広げる、いわばQのバトンを次の自分に、または、発表を聞いている人に渡すための場になります。
東京都世田谷区立東深沢小学校教諭
木村翔太
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