Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を横断的・総合的に進めて行く教育が各国で進められています。
このような科学技術に関わる教育分野の頭文字を取って、STEM(ステム)と呼ばれる横断的・総合的に進めていく教育の推進が、世界各国で進められるようになってきました。
最近では、このようなSTEM教育の推進にArt(芸術)を加えて、STEAM教育にまで発展しようとしています。
特にSTEM教育発祥の地であるアメリカ合衆国では、略称になりますが2007年にCOMPETES法と呼ばれる法律が制定されました。このような国の政策によって、STEM教育を推進していく大きな動きが強まったと言われています。
それでは、STEM教育がなぜ必要なのか?について、もう少し詳しく現状を見ていくことにします。
皆さんの記憶にはスペースシャトルに人が乗って宇宙に行くという計画があったのを覚えている方も多いでしょう。このような宇宙への夢は、アメリカ合衆国のアポロ計画によって月面着陸に至る形で実現されます。これはソ連(現在のロシア)との間で激烈な宇宙開発競争のあったスプートニックショックに起源を有しています。アメリカがソ連に宇宙開発で負けているというショックから、もっと数学、理科等を中心に科学技術教育を推進していかなくてはいけないという国の政策につながりました。
すなわち、科学技術の大きな転換・革新がある時に理科系の教育は推進される特徴を持っています。
それでは、現代の世の中において、どのような科学技術の革新があるのでしょうか。
このような革新の例には、AI(人口知能)技術が進化して、その主体が人間ではなくAIに変わってしまうということが言われています。このような技術革新の動きは、我々の生活をとても豊かにしますが、スプートニックショックの時代に見られたように、新しい社会に適合していくための科学技術教育も必要になってくるのです。
STEM教育は、こうした新しい社会がやってきて、それに対応するための教育として必要だと考えることができます。アメリカは多様な人種が混ざった国家であり、このような科学技術の変化に十分対応できない国民も多くいます。
また、途上国では自分の国が豊かになるために、科学技術に関わる教育を進めて行きたいと思っている国も多くあります。我々にとっては、算数・数学、理科は入試で大事だからで片づけられるのかもしれませんが、なぜ、入試に課してまで、このような科学技術に関わる教育を推進していく必要があるのでしょうか?それは日本にとっても本当に必要なのでしょうか?
次回はそこに迫りたいと思います。