Vol.140AIと教育⑤
2017年のシンポジウムを終えて

2019.03

 2018年12月22日に東京学芸大学主催で第2回EDUAI(AI×教育プロジェクト)シンポジウム『未来の教育はAIに何を求めるのか?』が開催されましたので、その内容について紹介したいと思います。

 まず、今回のシンポジウムが開催されるまでの経緯を説明します。元々、東京学芸大学とリクルート次世代教育研究院で、人工知能(AI)の技術革新が進む「Society 5.0」時代(AI時代)に応じた学校教育・社会教育・家庭教育また教育現場の在り方が問われる中、「教育」という営みに、どのような可能性や必然性が生じるのかを考えるため、AI時代での「生きる力」とは何か、それにはどのような学びが必要か、また、来るべき時代に向けた教員養成を考えるプロジェクトであるEDUAI研究会が2016年に発足しました。そして、EDUAI研究会で得られた研究成果を、2017年に開催しました第1回シンポジウムで皆様に報告させていただきました。その後も、研究会を継続していく中で、ファンファンラーニング株式会社や株式会社エクサウィザーズなどの複数の企業にも研究会に参加いただくなどの進化も遂げてきました。このようにEDUAI研究会においてAI時代の教育について議論が進められる中で、個別課題についても研究を行う必要が出てきたため、複数の研究プロジェクトを立ち上げて共同研究を進めていくという形になりました。

 東京学芸大学では、このようなEDUAI研究会の成果を受けて、平成31年度より修士課程にて教育支援協働実践開発専攻・教育AI研究プログラムを設置することとしました。そこでは、情報科学や心理学、また、幅広い各種専門分野を基盤に、教育におけるAIの利活用について、学校や多様な専門家と協働しながら、教育改革を先導する人材育成をおこなう予定でいます。また、教育AI研究プログラムにおける授業科目としてフィールド研究という科目を設置して、本学教員・民間企業・学生の3者で協働し、共同研究をベースとして、学生を中心とした課題解決に関する学習を行っていく予定です。EDUAI研究会から発生した共同研究についても、フィールド研究の一部として、学生参画してもらいながら進めていく予定でもあります。

 このような背景を受けまして、第2回EDUAIシンポジウムが開催されました。本シンポジウムでは、EDUAI研究会から発生した共同研究プロジェクトの研究成果について、事例紹介をしました。また、参加者の皆様と共に「AI×未来の教育」に対する考えをより一層深めるために、「AI×未来の教育」に関するフロア参加型対談を行いました。

 これらの内容に関しては、次回以降に報告させていただきます。

東京学芸大学学長補佐・准教授 中野幸夫
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