2020年度より全面実施された学習指導要領において、「見方・考え方」を働かせることの重要性が示されました。これから理科の授業力を高めようとする若手教員にとっても、中堅・ベテラン教員にとっても、正しく捉えていく必要があるキーワード、それが理科の「見方・考え方」でしょう。「見方・考え方」について勉強することを負担と感じる先生もいるかと思いますが、私は授業づくりが「楽になった」と感じています。それはなぜなのか、説明したいと思います。 理科の「見方・考え方」は、単元や学年によっておおまかに整理されています。
領域 | 見方 |
---|---|
エネルギー | 量的・関係的 |
粒子 | 質的・実体的 |
生命 | 共通性・多様性 |
地球 | 時間的・空間的 |
学年 | 考え方 |
---|---|
3年 | 比較する |
4年 | 関係付ける |
5年 | 条件を制御する |
6年 | 多面的に考える |
例えば、6年生の「水よう液の性質」であれば、領域が粒子なので主に働かせる「見方」は「質的・実体的」です。また、6年生なので、主な「考え方」は「多面的に考える」となります。 これら各領域・学年の見方・考え方は必ずしも固有のものではなく、他の領域や学年で用いられてよいものですが、授業をつくる大まかな指針として非常に役に立ちます。
「この授業は、普通はこうやるべきだ」「この授業で、ここに重点を置かないなんて」私が若手教員の頃、理科のベテランの教員からこんな言葉を何度も掛けられました。しかし、学習指導要領にも、教科書の赤刷りにも明記されていない先輩たちの常識に、大いに困惑したことを覚えています。その授業の「隠れたポイント」が、若手教員の私には分からなかったのです。もしかしたら皆さんの中にもこのような体験をした先生がいらっしゃるのでないでしょうか。しかし、今回示された理科の「見方・考え方」を捉えることで、若手教員でも授業のベースとなる指針を捉えることができるようになりました。このことにより、自信をもって授業に臨めるようになることでしょう。
理科の授業準備には時間がかかるため、余裕をもてない先生も多いかもしれませんが、ぜひ左記の表などを頼りに、その単元・学年の「見方・考え方」を捉えることから授業づくりを始めてみてください。きっと授業がつくりやすくなるはずです。 そしてその授業は「見方・考え方」を大いに働かせるものとなり、子供たちの資質・能力を高めることにつながるはずです。