現在、既にグローバル化や少子高齢社会などが日本で課題となっていますが、2030年頃には、2015年に生まれた子どもは15歳となり、今の小学校6年生は27歳となり社会に出て活躍しているでしょう。
そのような遠いようで近い将来である2030年は、現在よりもさらに、不安定性・不確実性・複雑性・曖昧性の高い時代になっていると予測されています。たとえば、PISAなどで有名なOECD(経済協力開発機構)のシュライヒャー教育局長による、2015年12月の第18回OECD/Japanセミナーにおける講演によれば、世界では「ロボット工学」、「拡張現実」、「経済のデジタル化の進展」、「経済的格差の拡大」、「生産性の高い企業とそれ以外の企業の二分化」などが進んでいます。また、今後は「3Dプリント」、「合成生物学」、「脳機能の強化」、「ナノ物質」などの分野の発展や、「独居」、先進国への「移民」という現象が、日本だけでなく世界中で進むことが予想されています。
ロボット工学の進展は、人に変わってロボットが様々な仕事を行い、人の働き方、仕事が変化していく未来を予想させます。また、移民の増加は、集団における多様性の増加だけでなく、雇用問題や文化上の衝突の増加を予想させます。そして、2030年ごろには、これら以外にも、不安定性・不確実性・複雑性・曖昧性が高く解決が難しい課題が多く生じてくると考えられます。このような課題が日本においても今後、より一層生じてくるとしたら、そのような時代を生きる子どもたちに必要な教育、すなわち「次世代教育」は、どのようなものなのでしょうか。
東京学芸大学次世代教育研究推進機構講師
柄本健太郎
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