今でも高校生がなりたい職業の上位にくる「教師」ですが、最近は学校に行かない児童や生徒が増えてきたことや、「教師」の仕事が大変だという話題が挙がっています。また、今の時代にわざわざみんなが集まる学校が本当に必要なのか、さらに、新しい社会にはどんな学校の先生が必要なのかという議論にまで発展しています。このような時だからこそ、今一度、現場で先生になっている皆さん、これから先生になろうとしている皆さんと一緒に、「教師」になるための仕組みについて考えてみたいと思います。
私も教員養成の学部を卒業しましたので、以前から私が思っていた教員養成について考えてみます。教員養成については、どのような仕組みで「教師」になるための免許を取得するのかについて、専門的に研究をしている成果が多くあります。今回はそのような成果を参考としますが、ここでは主に「教師」になるために学んでいる側の視点から、教員養成について考えてみます。既に先生になっている方は昔を思い出して、現在、先生になろうと思っている方は、今と照らし合わせて考えてみて下さい。
以下の表は、令和5年度に公立学校で採用された学歴別における「教師」の人数とその割合を示しています。皆さんはどうやって先生になりましたか、表を確認してみて下さい。私は、教員養成学部を卒業したので、もし小学校、中学校、高校の先生になっていれば、表の教員養成大学・学部に属していたかもしれません。現在、小学校、中学校、高校の先生の約6割が、一般大学で自分の学びたい専攻を学ぶ傍ら、教職課程の授業を履修し、免許を取得した方です。私が卒業した教員養成大学・学部からの採用者は、小学校では約3割、中学校、高校では約2割しかいません。
現在、日本で「教師」になるための仕組みは、ほとんどが大学に進学して、自分の専攻した専門的な内容を学びながら教職に触れて先生になるか、教員養成課程で主に学んで先生になった方だということがわかります。これは、戦後に日本で「教師」になるための仕組みとして作った、大学における教員養成課程の道と、教員養成課程以外の人にも「教師」になるための道を開放する制度が背景にあります。一時期は、教員養成課程の道を辿って「教師」になった方が採用の多い時もありましたが、現在は一般大学を卒業して「教師」になる方が多いのが現状です。さて、次回は多くの人が大学に進学して辿った「教師」になるための道について、詳しく迫りたいと思います。