Vol.116宇宙教育という手法③
SEECときっかけ

2018.06

 VISION vol.115では「宇宙を教育に利用するためのワークショップ(Space Exploration Educators Conference: SEEC)」の活動について、ご紹介させていただきました。今回は2017年度参加された2名の先生について、参加のきっかけ・感想などをご紹介します。

 1名は工業高校の電子機械担当の先生で、「流れの不思議な世界」をテーマに実践をされました。こちらの先生がSEECを知ったきっかけは、「宇宙航空研修開発機構(JAXA)主催教員研修」でした。JAXAでは2017年度から、年に数回ですが公募制の教員研修を実施しています。夏休みに実施したこの時は日本中から先生方が集まって、宇宙食の食べ比べなどを実施しました。この研修を通して、「私が取り組んでいる流体力学が、宇宙の教育だけでなく、様々な教科での活用のきっかけになれば」と感じたことが始まりだったようです。参加後の感想では「現地小学校での組織的・計画的に教育を行うという学校の基本構造や、自由な発想で自己表現できる教育環境は大変刺激的で勉強になった。また、世界中の方と意見交換等ができて、グローバルな視点で教育を考える良い機会となった」という声をいただいています。

 もう1名は小学校の図画工作専科の先生で、「トラス構造」をテーマに実践をされました。こちらの先生がSEECを知ったきっかけは「市教育委員会が実施している研修」でした。自治体の中には、年間研修予定の中に、宇宙教育の研修を取り入れているところも多くあります。ここでSEECを知った先生が、「これまで日本全国で実施してきたものをSEECでも実践し、より柔軟な考え方をもった教員を目指したい」と考えたことが始まりだったようです。参加後の感想では「最大の成果は、知的好奇心が高まり、次への原動力になったこと。刺激的な毎日と適度な緊張、それを乗り越えることでの達成感も生まれ、モチベーションが高まった。もっと知りたい、もっと伝えたいと思う毎日は、私を更に研究の道へ向かわせる推進力になった」という声をいただいています。宇宙教育のモットーである「心に火がついた」活動になったのではと思います。

 今年度もJAXA主催研修等の情報はTwitterやHPを通して提供する予定です。教育委員会主催研修や学校主催研修については、いつでもご相談ください。全国の先生の心に火をつけられるような研修をこれからも行っていきます。

JAXA宇宙教育センター主事
松原 理
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