Vol.028子どもと野外活動④成功の秘訣「グリット」をキャンプ野外活動で伸ばそう!④

2016.01
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【ポイント3:一日の終わりには共感~振り返り~の時間を(後半)】
 ぜひ一日の終わりに、仲間と円座になってシェアリングをする機会を持ってみて下さい。シェアリングをする時の一つの手法(観点)として、「I like…」と「I try…」のやり方があります。漠然と「今日どうだった?」と聞くのではなくて、まずは楽しかったこと、できたこと、感謝すること、自分がした親切などのポジティブ面(I like…)を振り返っていきます。次に、「明日はどこをがんばろうか?」と次に向けて取り組んでいくこと(I try…)を考えてみます。今日は上手くできなかったことでも、それは失敗ではなく次にチャレンジする課題となるのです。なお、感謝したことや(自分のした)親切については、「感謝日記」といって、一つだけでも毎日書き出すことによって、子どものポジティビティひいてはやる気を向上させる効果が認められています。

 これまでに、いくつかの心の持ち方(物の見方)やアクティビティを紹介してきました。それらを通して子どもたちのポジティビティ能力を引き出すことにつながります。そして、そのようなポジティブ感情は、頭・心・体・人間関係を活性化します。それゆえ、困難や逆境に立ち向かう力(レジリエンス)を育みます。レジリエンスとは、大変だと思うことに直面した時でも折れない心の力です。このレジリエンスは(これも昨今注目される力の一つですが)、上述した基本的自尊感情によっても向上することが分かっています。このように、小さなチャレンジに始まり、それに関わる導き手のちょっとした指導上のコツを通して、子どもたちのチャレンジ=努力していく力である「グリット」の育みにつなげていく大きな可能性があるのです。
 最後に・・・。ここにご紹介したことは、実は日常生活であっても状況によって応用できる考え方・手法でもあります。気づいている方もいたかと思いますが、皆さんそれぞれの文脈において活用してみて下さい。
東京学芸大学准教授
小森伸一
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