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Vol.051心の声をきく— 信頼関係から築かれる子どもの育ち—②自信を育む“挑戦”と“発見”を仕組む

51_pic_01  子どもの1年間の成長はすごいものです。とりわけ3年生と4年生ではずいぶん様相が変わってきます。一番大きな違いは、4年生になると10歳になるということかもしれません。子どもにとって10歳というのは、希望にむけての躍進を予感させるものです。小学校ではときに「二分の一成人式」なる企画をたててこの10年間をふり返り、自分の成長を見つめる活動をします。このような活動を重ねるうちに、子どもたちは自分のことを客観的に見られるようになる高学年期にさしかかっていきます。思春期の“もやもや感”とは違うどうにもならなさがあります。「放っておいて欲しいけれど見ていて欲しい」というのがこの頃の子どもたちです。大人からすると少々厄介な年頃ですね。教室でもわざとふざけてみたり、友達に突っかかっていったり、グループをつくって固定的な友達関係で価値観を共有しようとしたりします。こうした中で、その子なりにいろいろと手応えを確かめながら、自分探しをはじめているのです。そのために、ときには頑張りどころを明確に示して乗り越える試練や、その子が自分の得意に気づけるような活動を仕組んでいくことが学校生活の中で必要だと考えています。「挑戦」と「発見」というのがキーワードです。
 おっとり派のS太くんの動きが俄然勢いづいてきたと感じたのは、劇活動の本番が近づいたときでした。照明を担当していたS太くんは、照明の調整卓が扱えるようになってくると、台本からどのような色を出したいかを考え、自分で試すようになりました。「さっきの色、あれ良かったよ」と練習後に声をかけると、次は色を変えるタイミングに注意を払うようになっていきました。さらに照明に対する仲間や教師の無理な要求にも、嬉々として応えるようになりました。活動を終える頃には、なんだか逞しく見えるくらいでした。S太くんのような子を見ると、自分探しの入り口に柔らかな光を当てるのが教師の役目かなと思いますね。
東京学芸大学附属世田谷小学校教諭
齋藤豊
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