写真 モルモットの飼育当番 ~生命を尊重する態度を育む~
図1のように、乳幼児期には、遊びを通して生きる力の基礎を育むために、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」という5つの領域の視点から幼児の発達を見つめ、保育を行っています。例えば、ドッジボールで遊ぶ経験を重ねることで、子どもたちは運動機能を高めるだけでなく、仲間と協力して遊びを進め、時にけんかをしながら人間関係の在り方を学んだり、どうしたら強くなるか仲間と相談したりします。また、どちらが勝ったかその子なりに数える工夫をしたり、ボールがよく弾むためには空気を入れるとよいことを体験から学んだりすることでしょう。このように、ドッジボールの遊び一つをとってみても、子どもたちは豊かな経験をし、総合的な学びを獲得しています。
図1 遊びを通して育まれる生きる力の基礎 ~ドッジボールの遊びを一例として~
平成30年度より施行される「幼稚園教育要領」においては、10項目の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が示されました(図2)。これは幼稚園での活動全体を通して育まれる資質・能力の具体的な姿であり、保育者が指導を行う際に考慮するものであるとされています。
図2 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
これが示されたことにより、その後の小学校、中学校へと続く学校教育の基礎を見とる具体的な視点が明らかになりました。当然のことながら、この10項目は、あくまで、総合的な遊びを通し多様な経験の積み上げによって、結果として、修了時期に自ずと育まれる資質・能力です。この10項目を育てることを到達[2]目標として掲げ、保育を行うわけではないことに留意する必要があるでしょう。
参考文献 幼稚園教育要領(2017)
実践女子大学准教授 井口眞美
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