Vol.157「教員の働き方改革」③

前回は、東京学芸大学EDUAI(AI×教育プロジェクト)で行っている「教員の働き方改革プロジェクト」の調査結果として、小学校の先生方の残業、持ち帰り業務・休日出勤の状況についてご紹介しました。また、多くの教員が、近年業務量が増加したと感じていることも明らかとなりました。

ここでは、引き継続き、多忙化の要因や、働き方改革に対する意識についての調査結果をご紹介したいと思います。

同調査より、業務量の増加の原因としては、「保護者対応の増加」「学習指導要領の変化に伴う授業準備・研修等の増加」「行政主体の行事」などが多く挙げられました。

また、多忙化が深刻化する中で、約7割が「児童とふれあう時間が少なくなっている」「教員になろうとする人が減ってきている」、約6割が「心身・生活状態を健常に保つのが難しくなっている」「児童の指導・授業内容の質を保つのが難しくなっている」などと感じていました。

さらに、働き方改革を阻む要因としては、6割以上が「業務の削減や効率化に取り組む余裕のある人が少ない」「業務の削減や効率化のノウハウがない」「業務の削減や効率化のための予算が不足している」を挙げ、教育委員会や政府への要望としては学級の人数に関することや、教員の職務内容の精選についてのガイドラインの提示などが多く挙げられました。

これからの新しい時代の持続可能な教育の実現に向け、学校および教員が担うべき業務の明確化・適正化や、保護者や行政と一体となった改革とそれらを支援する体制づくりが急務であると言えます。

本プロジェクトでは、引き続き、ICT等の活用による業務の効率化に向けた施策に速やかに取り組むとともに(短期施策)、本質的な構造改革を目指して段階的かつ現実的に新しい時代の教員業務の構造・あり方を再定義する仕組みづくり(中長期的な構造改革)を同時に推進していきたいと考えています。

東京学芸大学 生活科学分野 准教授 萬羽郁子
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