1 世界のコンピテンシー研究と学習指導要領との関係
現在、国際的な視野に立つ教育及び研究機関は、グローバル化や急速な技術革新などが進む2030年代の社会に向けて、子どもたちにどのようなコンピテンシー(資質・能力)を育成するべきかという課題に直面しています。中でも、OECDが主導するEducation 2030事業(以下、EDU2030)は、現在ラーニング・コンパスと呼ばれる資質・能力の概念的枠組をつくり、知識、汎用的・横断的スキル、態度・価値の側面から内容を整理し、今後実践的な方法の検証に入るところです。一方、我が国の新学習指導要領に示される資質・能力は、知識・技能に関するもの(何を知っているか、何ができるか)、汎用的スキルに関するもの(知っていること・できることをどう使うか)、態度・価値に関するもの(どのように社会・世界にかかわり、よりよい人生を送るか)という3つの範疇から捉えることができます。
2 東京学芸大学次世代教育研究推進機構(NGE)プロジェクト
そこで、本機構は、OECDと共同してEDU2030の枠組をもとに新学習指導要領に沿った指導・学習・評価を進めるために、21世紀型の資質・能力の3つの柱を各教科等でどのように育成すべきかを課題としました。すなわち、各教科等で身に付ける「知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の枠組と、「知識」「スキル」「態度・価値」を対応させながら、それらの指導・学習・評価の方法を検討・提案するものです。この視点から、本機構は、2つのプロジェクト、すなわち①21世紀型の「指導・学習モデル」の提案に関するプロジェクトと、②コンピテンシーの育成と評価プロジェクトを立て、推進していきました。
3 第1回東京学芸大学次世代教育研究推進機構シンポジウム
その成果報告として、第1回シンポジウム(日時:2017.3.11、会場:東京国際フォーラム)が開催されました。そこでは、国内外の教育改革に関わる講演の後、コンピテンシーのとらえ方や学習活動等で育成されるコンピテンシー、動画配信システム、コンピテンシーの評価方法等が報告され、実践者からの提言がなされました。また、OECDや中教審関係者、大学研究者、フロアーから貴重な意見等をいただき、プロジェクトの意義と方向性が確かめられました。詳しくは、下記をご覧ください。