Vol.080AIと教育②AI×教育

2017.07
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 現在、人工知能(AI)技術は急速に発展しています。AIとプロ棋士の囲碁の対決についてのニュースは大きく取り上げられ、人々の関心を集めました。また、株式会社野村総合研究所とマイケル A. オズボーン准教授(イギリス、オックスフォード大学)らの研究では、今後10〜20年の間に日本の労働人口の約49%が就いている職業で、人工知能やロボット等により代替できる可能性が高いことが報告されています。既に、医療分野や、農作物の品質・生産管理、建設現場での事故や故障の予知・監視、Q&Aの自動サービスなど様々な場面でのAIの活用が進んでいます。IoT(Internet of Things)やAIの発展によってもたらされる変革は、社会の“第4次産業革命”を起こすとも言われています。

 2017(平成29)年3月に次期学習指導要領が告示されましたが、この審議の中においても、AIの飛躍的な進化や、グローバル化の進展など、社会の加速度的な変化を受け止め、将来の予測が難しい社会の中でも広い視野を持ち、志高く未来を創り出していくために必要な資質・能力を育む教育が目指されてきました。

 東京学芸大学では、リクルート次世代教育研究院、NPO法人東京学芸大こども未来研究所と共に、AI時代の教育について考えていくための共同研究プロジェクトEDUAI(AI×教育プロジェクト)を立ち上げました。この研究プロジェクトの特色は、AIそのものの技術開発に関する研究というよりも、AI時代の到来に向けてAI時代における「生きる力」とはどのような力なのか、どのような学びが必要か、教育分野におけるAIの活用など、AI時代の学びについていろいろな観点から研究を進めているところです。メンバーの専門分野も、特別支援教育、教育相談、スポーツ科学、生活科学、景観生態学、理科教育、言語教育、メディア表現教育、声楽、制御工学など様々で、多分野にわたる専門性の相乗効果によってAI時代の新しい学びのかたちを提案していきたいと考えています。

東京学芸大学講師
萬羽郁子
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