Vol.062これからの英語教育①思いのつまった英語表現のINPUTを大切にした小学校外国語活動

2017.01

62_pic_01  2020年度から小学校でも外国語が教科化されることになりました。それに伴い、様々な先生から「教科化されたらどのように教えればよいのか」「評価はどのようにしたらよいのか」というような声を聞くことが多くなりました。文部科学省から学習指導要領が出てきたら具体的なイメージができるでしょうが、ここで大切にしたいことは、児童がどのように言語を習得していくかは、教科になったとしても変わらないということです。

 教科になれば、「児童に○○ができるようにさせなきゃ」「評価をするためには、これができないとダメだ」というようなことが懸念事項になるでしょう。ここでありがちなのが、「この単語を覚えておくように」「これを英語でいうと、○○と言います」のような教え方です。こうなってくると児童は英語を暗記しなくてはいけません。中学・高等学校で英語が嫌いと言っていた我々世代の多くは、このような英語学習が嫌いだったのではないでしょうか。そうした時に、本当に小学校からその教え方をするべきなのかということを考えなくてはいけません。ただ覚えさせるのではなく、児童が自然と聞いて理解したり、自然と使ったりする活動を教師が仕組むことで、児童は「覚えよう」と思わなくても自然と身に付けていくことができます。大人は子どもができないと勝手に決めつけてしまいがちですが、子どもの可能性は大人が考えている以上に大きいのです。

 児童はこちらが英語で話していても「なんとなく」理解しています。それを「今言った○○って単語は日本語で言うとどういう意味?」などと聞いてしまうと、「全部を理解していなくてはいけないのだ!」と思ってしまいます。「何となく」の理解でよいということを奨励していきたいのです。「『何となく』が少しずつ増えていき、より細かいところを理解していくのが児童の成長だ」と考えると、教える側も気が楽になるでしょう。どちらにしろ、文部科学省が出すであろう学習指導要領に、そこを考えた上で目標などを出してきてもらえると、現場も「英語嫌い」を増やさないような学習を進めていくことができるでしょう。

東京学芸大学附属大泉小学校教諭
石毛隆史
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