Vol.211SDGsのための教育と未来への学び③
子どもと大人がともに学ぶSDGs

 新しい学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」を理念の一つとしています。SDGsのための教育は、社会に開かれた教育課程を具現化しやすい特徴があります。SDGsについて学ぶためには、地域のことを知る必要が出てきます。地域に出かけて調査や取材をすることも考えられますし、地域の方にゲストティーチャーとして学校に来ていただくこともあるでしょう。また、企業と学校との連携も活発になっています。SDGsに積極的に関わっている企業、あるいはSDGsの達成のための専門性を有している企業を訪問したり、企業の方にゲストティーチャーとして来ていただいたりする活動も増えてきています。子どもだけではなく、教師も地域や企業から学ぶことも多いと思います。

 SDGsの17の目標を見ると、その達成のためにはテクノロジーの発展と道徳性の育成が鍵となるのではと私は考えています。AI、IoT、クリーンエネルギーの開発などは、様々な現代的問題の解決のために欠かせないものであり、可能性を感じさせるものです。子どもたちもテクノロジーの発展がSDGsの達成とどのような関係にあるのかについて知り、自らも創造性やイノベーションの力を生かしてSDGsの達成に貢献したいという気持ちを育むことができればよいと思います。
 また、SDGsの達成には道徳性の育成も欠かせません。公平・公正・社会正義、社会参画・公共の精神、国際理解・国際親善・国際貢献、生命の尊さ、自然愛護等、多くの道徳的価値がSDGsの達成と関係しています。道徳科の教科書に掲載されている教材でも、SDGsを意識したものもありますが、まだ十分ではありません。道徳科の時間だけではなく、全ての教育活動を通じて行う道徳教育の中でも、SDGsと関連づけて道徳性を育むことができればと思います。

 SDGsは幅広く、奥深く、変化が速い内容を含んでいます。教師であっても全てを十分に知ることは難しいです。したがって、教師が知っていることを子どもたちに教えるというよりは、大人と子どもが一緒に探求し、理解し、話し、考えることを通じた学びと位置づけた方がよいかもしれません。大人も学ぶ喜びと意義を感じながら、SDGsのための教育を楽しんでもらえればと思います。

東京学芸大学 教授
松尾 直博
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