大学を卒業して、働きはじめてもうすぐ20年です。新卒で初めてオフィスに自席が設けられて、周りを眺めた時に「僕はこれから何10年も働くのかぁ」と思ったことを今でも覚えています。
その感情は、ワクワクではなく、ちょっとゾッとするような、とはいえそんな先までイメージできない不思議な感覚でした。
そんな僕もあっという間に、20年。その内訳は、大学職員9年、その後転職して、公立小教員6年、そして現職5年です。
そのキャリアの中で、前半の僕と、今の僕では、全く「働く」に対する捉え方が異なります。
前半の僕にとって「仕事」と「プライベート」は相容れないものでした。効率よく仕事を終える。家に帰ったら仕事の話はしない。人生の楽しみは仕事外にある。アフター5大事!休日、大事!!という具合に。
今の僕はというと、「仕事」と「プライベート」の境目がありません。365日稼働中。人生まるっと楽しいです。
なぜ変容したのだろうと振り返ると、それは小学校教員、図画工作科専科教員になったことが大きな転機でした。
教員の仕事は、先を見ること、計画することも大事ですが、それと同じくらい「今」をみます。今ここで起きていることに即時即興的に判断し、対応していかなくちゃいけない。子どもと過ごすと、なかなか計画どおりにいきません。計画通りにさせようとするから、様々な障壁が立ち上がります。僕は幸いにも、図画工作科という教科の特性もあって、自分の思い通りに子どもを動かすのではなく、子どもたちの活動に応じて即時即興的にアレンジしていくという営みを日々行なっていました。
即時即興的に対応できるようになるには、子どもたちのアイデアに対して、「面白い!」「どうやったらできるかな!?」と、受容し、乗っかる姿勢が大事です。僕も思いつきを子どもたちに返します。効果的な声かけとか支援ではなく、思いつき、です。こうして「今」を即時即興的に生成していくのです。
いつしか、この営みが人生の軸になりました。「今」を捉えて、生成していく。それが日々重なって人生になっていくのです。
仕事でもプライベートでも、人と会って話した分だけ「面白い!」「どうやったらできる!?」が生まれます。それに乗っかってきたら、いつしか「仕事」と「プライベート」の境目がなくなっていました。図画工作は、人生のつくり方を教えてくれました。
現在、僕の仕事場の同僚に「仕事、どう?」と尋ねたら、嬉しい言葉が返ってきました。
「“今日も生きたな!”って思います!」
楽じゃないけど、楽しい日々を、自分でつくる、生成する。こうして僕も、今日も生きたな!を味わい続けたいと思っています。